無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

ベテランに期待される事

ヒカルの個人的な心理動向は別にして、市場としてはますます帰ってきづらいんじゃないかな〜と思う今日この頃。

ここ10年はチャートのメインはアイドルで、即ちそれは80年代に戻っただけだという話は再三再四してきた。つまりは88年以降の"CDバブル"が携帯電話とインターネットのお陰で四半世紀の歴史を経て収束した、という事。今CDを買っている層はアイドルファンと音楽ファン、そして新しくアニメソングのファンが加わった状態だ、ともいえる。

80年代を思い返してみると、70年代のフォーク〜ニューミュージックの流れが一段落し、取り敢えず和製ロック&ポップスの萌芽が82年あたりから出始めるもまだまだチャートの上位を独占するところまではいかず、といった状況だった。しかしコンサートの動員数は着実で、テレビに出なくてもスタジアムを埋め始めるアーティスト・グループは確実に存在していた(BOφWYとかね)。ここらへん、今の状況と少ぉしだけ似た感じだ。

ここから"和製ロック&ポップス"の存在をグーッと引き上げたのは松任谷由実だった。80年代後半にそれまで長らく出ていなかったミリオンセラーアルバムを連発し、彼女のCDを買ってツアーに出掛ける"ライフスタイル"がまず少し高めの年齢層に植え付けられる。アイドルや80年代ロック&ポップスを支持していた層とは若干違っていた。しかしその波及効果は大きく、90年代に入ってからのB'zやドリカムなんかの躍進の下地を作ったとみるべきだろう。細かくみればこの把握の仕方は問題アリアリなのだが、"圧倒的な数字を残した"という事実の駆動力は何物にも代え難かった。

特筆すべきなのは、この80年代後半の時点で松任谷由実が既にベテランの域に入っていたという事だ。70年代のフォークブームの折に荒井由実としてデビューしていた人が20年近く後にシーンのトップに躍り出た。そこが革命的というか驚異的だったのだ。


もしかしたら、"宇多田ヒカル"というブランドも、80年代後半の松任谷由実のようなはたらき、即ち"新しい邦楽市場の構築"の重責を、復活の暁には期待されるかもしれない。そういう"前例"があった事を、市場が思い出す頃が復活時だとは思うのだが取り敢えず今はその状況にはない、と思える。それはなぜかというと…

…という話の前に我々は来週のラジオを楽しみにしているのだった。大きな話はまた今度でいいかな?