無意識日記々

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なんか無駄にユーミンの話の続き。

宇多田ヒカル松任谷由実のような"ビッグ・モンスター"に、なるのかなれるのか。果たしてファンはそんな事に期待しているかどうか。

ユーミンの特徴的なのは、70年代にそれなりに名を成しておきながら、80年代後期から90年代初めにかけてそれよりも更に大きなピークを迎えた事にある。

元々グループとしてデビューし一世を風靡して更にそろ活動で飛躍、という例は結構ある。シュープリームスから飛び出したダイアナ・ロスデスチャからビヨンセ、ジャクソン5からマイケル&ジャネット・ジャクソン、ポリスからスティング、ジェネシスからフィル・コリンズピーター・ゲイブリエルなど、いずれもグループ時代に大成功を収めた癖にソロ時代にもっと巨大な成功を収めている。

しかし、ソロ・アーティストとしてこうやって2回目3回目のピークを迎えられるのはなかなかない。長い活動の中で浮き沈みがある、というよりは、まるで生まれ変わって新たなアーティストになったかのように新鮮味をもって受け入れられる。なかなかに希有な事である。

彼女の場合はわかりやすい転機がある。荒井由実から松任谷由実へのスイッチだ。松任谷正隆氏との結婚以降、少しずつ売れ線にシフトしていった(っていうまとめ方も強引だけども)。そして80年代後期、いわば彼女は時代の風を見方につけた。85年のプラザ合意以降の日本のバブル景気の波に乗り、自らのサウンドを嗜む事がステイタスとなるような位置にまで達する事が出来た。確かにここらへんまで来ると他の追随を許さない孤高の女王というイメージだった。レコードを、CDを買うという行為を人々の生活の中にねじ込んでいったのである。とりわけCD時代になってからの数年は無双状態で、新しいメディアに(古くて)新しいサウンドという組み合わせで人々の生活習慣を変えてみせたのだ。


ヒカルも近い事をしている。Flavor Of Lifeの大ヒットは即ち「テレビドラマを見ながら携帯を弄る世代」を直撃した。あの信じられないような数のダウンロードは大半が携帯電話からのものだった。当時の日本記録、世界記録をも記録した。また黄金時代かと思わせたがすぐさま離婚してしまう。変な噛み合わせだったなー。

ユーミンの場合、特に荒井由実時代へのこだわりが強いファンは変化していく"松任谷由実時代"のサウンドに抵抗があった、いや今でもあるらしい。ヒカルの場合、"そうはならなかった"ともいえる。HEART STATIONの充実はその証左だった。

ヒカルが次に戻ってくるのがいつになるかはわからないが、また大きなピークを迎える可能性は十分にある。売上的にね。音楽的にはずっと右肩上がりだったから(断言)。そうなった時に「昔はよかった」と言う古参ファンが出てくるのが楽しみだ。だって今までは概ね売上が右肩下がりで、そういう"売れたサウンドを否定したがるこだわり派"の出る幕が殆どなかったからね。その日を夢見ながら復帰を待ちわびる事に致しましょうぞ。