無意識日記々

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Our hearts called it.

『初恋』の威力が凄まじい。ドラマ本編の方は「少女漫画を実写化するのは大変なんだな…」と同情を誘う展開をみせているが、それをお構いなしに切り込んできて空気を変える。一応シリアスっぽい場面で流してもらっているのでギャグにはならないが、マクドナルドでフランス料理のフルコースが出てきたような場違い感は相変わらずある。とはいえ、そのパワーで押し切れる存在感は第1回から見事なものだ。来週もかかるだろうか。

何しろ主演の杉咲花が基本的にコメディエンヌな演技なので、シリアスといっても限界がある。いや勿論、あんな漫画みたいな美少女だから漫画原作のドラマの主役に選ばれているのだが。そんな中を、底と天井と壁の三方を突き破るようなホーリーさで『初恋』が流れてくる。特に今回ますます歌詞がよく聞き取れるようになってきて、今更ながら「プレーンな状態で新曲に触れたかったなぁ」という『あなた』から続く不満が頭に擡げてくるのだが、なんの、雑踏にまみれて聞こえてくるのがPop Musicってものである。寧ろ『初恋』には"足りない"「Pop Musicとしての猥雑さ」を補填してくれているとすらいえる。そこからみればもちつもたれつである。

それにしたってな。この『初恋』をライブ・コンサートで披露されたらどんな事になるか想像もつかない。3週間後の配信での"出会い直し"にすら些か緊張するのに、これを目の前で歌われるとかちょっとキャパシティオーバーだ。勿論、ライブで歌われると決まった訳ではないのだが、過去の名曲たちと最新曲を並べて歌って貰えれば、ヒカルの魅力が「伝説であること」以上に、「たった今いい歌を作ってたった今それを歌う目の前に居る音楽家であること」なのがわかりやすく伝わるだろう。やらずにいられる筈がない。苦労して生み出した新曲。自信があればあるほど「聴いて聴いて」と思わずには、言わずにはいられないだろう。

でも、こうやってドラマを3ヶ月観続けたとしたら、自分もそれ以降は『初恋』を聴く度に花晴れの名場面や何かを思い出したりするのだろうか。悪い事ではないのだが、不格好だなとは思う。まぁ、それこそライブで歌われたらまるごと塗り替えられるかもしれへんけどね。まずはひとまず、ドラマでの行く末を見守りたい。来週も観るのが楽しみである。