無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

age aint nothing but ...what ?

ONE PIECEは63巻も絶好調で、初版で390万部刷っているそうだ。そこらの新聞より遥かに売っている。日刊と(ほぼ)季刊を比較するのに無理があるのはわかってるけど。

内容も素晴らしく、ほぼ様式化している割に描くテーマは度毎に深化していて、これをワンパターンだとかマンネリだとかいうにはあたらないと思われる。寧ろ、心配になったのはこれ以上深化し続けたら面白さが伝わらなくなるんじゃないかという事だ。

人の心理の動きと歴史全体の動きがどう対応しているか、ひとつのシチュエーションに対しどのタイプの心理がどう動くのか、極めて精緻にシミュレーションされていて一体どうやって週刊で書いているのか脳みそを疑うレベルなのだが、このスピード感が読者を置き去りにしやしないかが気にかかるのだ。時代を牽引する力の源の手繰る手綱が断たれる感覚。

ただ、この漫画は尾田が中学生の頃だかにノートに書き始めた漫画がスケールが大きすぎてジャンプ連載までとっておいた話らしいので、既に決まっているという結末は中学生にエキサイティングなものになっているハズである。この超天才が普通の中学生やってたかどうかは疑問が残るが。

ただ、子供のうちから才覚を表している人間ほど、高いポピュラリティを示す、という考え方もある。複雑な理屈を覚える前に、つまり費用や手間や世間体やらを考慮せずに、作品の魅力を評価する事が出来るのだ。6歳から作曲を始めて30年間その芸風が変わらなかったモーツァルトはその究極例であるが、宇多田ヒカルもまたその一人であるといっていいだろう。

Mステで年齢別売上ランキングでヒカルが登場するたび「この年齢でこんな曲を書くなんて」と驚かれるが、それは勿論そうなんだけれども、ヒカルの場合「若かったからこういう曲を書けた」という側面が少なからずある訳だ。「おじさんが書く詞より同年代の私が書く詞の方が」というのは有名な台詞だと思うが、必要な技術が身についている場合、周囲の"平々凡々な人たち"に"いい曲だ"と思ってもらうソングライティングをする為には、余計な知識のない若々しい感性の方が向いている。あの年齢で書いたのも勿論凄いが、あの年齢だったからこそ書けたのである。そして、その頃感じたエキサイトメントがしっかりカラダに刻み込まれている以上、極端にポピュラリティを落とすことはないんじゃないかな。