無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

感謝の気持ち

アプシナのメロディーに浸りながら、改めて「In The Flesh 2010」の映像作品はまだか〜!?という気分になる。スタジオバージョンも勿論悪くはないのだが、より歌に焦点のあたったあのライブバージョンを良好な音質と映像で手元に置いておきたいものである。

ツイッターではちらっと書いたが、歌い手は会場の大きさやバックの演奏とのバランスによって半ば無意識的に声の出し方、アプローチが変わる。遠くに顔が見えると少し背伸びしてでもそこまで声が届くようにと大きく伸ばしてくるし、目の前に観客が居れば語り掛けるように繊細な歌声になる。それは時に曲調にさえ影響を与える。

故に、In The Flesh 2010は映像として作品化する事に意味がある。まず、当日のサウンドバランスを忠実に再現する事。しっかりとしたミックスを施し、あの親密さをIn My Roomに持ち込めれば、何故光があれだけ精度の高い丁寧な歌唱を披露できたのかが見えてくる。

それは映像面でも同様で、鮨詰めの会場の雰囲気を視覚的に伝える事で光の声の出し方が何故あぁだったのかを自然に伝える事が出来る。元々クラブ規模のライブはレアかつ未経験ではないという状態で臨んだライブハウスツアーだった為、初々しさと自信と不安が混ざり合った"妙に可愛い"仕草の数々も見物である。メイクは些かアダルトではあったようだが。

勿論、逆にこれの音源をリリースする事も意義がある。映像を伴っているとその自然さのあまり気づかないスタジオバージョンとの歌唱の違いが、音のみになる事でより鮮明に浮き彫りになり、このライブバージョン独特の価値が確実に聞き手に届くだろう。是非聞いてみたいものだ。

このような差別化が出てくるのも、光がその夜ごとにその会場で全力を尽くしているからだ。ルーティンワークではこうはいかない。その場所で感じ取った事を身体全体を通して丁寧に表現する。毎度ライブの最後に述べる来てくれた人々や関わってくれたスタッフに対する謝辞は伊達ではない。あの感謝の気持ちは2時間のショウの間中、ずっと歌唱に載せて我々の心に届けられているのである。