無意識日記々

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歌取り払って暑気払い

いやぁ今日は暑いぞ皆の衆。こんな時は爽やかなDISTANCEがオススメだ。しかも今日はOriginal Karaokeなんかを推したい。

軽快なリズムがサウンドの涼風加減の源泉である事は疑いがないが、この曲の優しさを表現しているのは中央で地味に流れ続けているエレピ〜パッド系のシンセサウンドである。役割としてはベースに近いが、高すぎず低すぎず、ほんわり冷ややかに中低域を支配する柔らかな温度感は絶妙。

更にそこに左側からギターのカッティングが軽快にリズムにアクセントをつけ、真夏に相応しい快活さを演出する。

これに跳ねるような主旋律がしっかり前面にでて楽曲をリードし、インストバージョンのDISTANCEの輪郭ができあがる。実にしっかりと組まれた音像だ。

ヴォーカルハーモニーはメインのヴォーカルラインのレスポンスとして機能しているので聴きながらついつい鼻歌を口遊んでしまうが、所々に絶妙のアクセントが施されていて、特に一番Aメロ後半のハミングのように控えめなバッキングのメロディー(Ha〜a〜a〜an♪)がより際立って聞こえる場面はカラオケならではの魅力である。

また、アウトロのまるでダカーポのような(そういうフォークデュオが昔いたんです。今でも現役で、親子三人で活動してるけど)サックス系のメロディーラインでの締め方が、メインの歌がない事でよりドラマティックに響くのもポイントが高い。元々サビの裏に入ってくるメロディーの発展系なのだが、こうして聴くとエンディングに向けて実に巧妙な匙加減で伏線が張られている事がよくわかる。

エレピ〜サックスという繋ぎと重なり。これにバッキングのコーラスハーモニーがかぶさってくるエンディングが多層的に重なっているのに暑苦しさは皆無で爽やかに響くのは、この伏線の巧みさによる所が大きい。

恐らく、当時のヒカルに単独でここまでの編曲をする能力はなかったように思われる。しかし、熟達したアレンジャーにとって出来上がった骨格に肉付けや装飾を施すのは容易で、問題は全体の構成である。巧みに配した伏線をエンディングでしっかり回収する手腕は、のちの例えばKiss & Cryも同様であるから、基本的な構成と展開はこのDISTANCEでも光が主に考えたのだと思われる。

そして、この曲の骨格から見直して曲を組み直したのがFINAL DISTANCEである事は皆さんご存知の通り。こちらのOriginal Karaokeの話はまた稿を改めて。