無意識日記々

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"ガチャコン"

幾つかのDemo Versionは奇妙な二部構成になっている。前半はマイクから録音したものなのか、咳払いやら欠伸まで入ったヒカルの"生の声"をフィーチャーした音で、後半は一転、完成度の高い、本来で言うところのDemo Versionとなっている。これは一体何なのだろうか。

いちばんの謎は、音楽を再生する時に鳴る"ガチャコン"という音だ。何なんだあれは。カセットテープを再生する時にスイッチを押す音、というのが最も納得のいく説明だが、1997年だか1998年にこんな物理的なスイッチを押すカセットデッキがあったのだろうか。テープを使う事自体は別に不思議ではない。Demo作りの時にDAT(Digital Audio Tape)を使うのはよくある(あった)事だ。しかし、ガチャコンなんて音のするもんあったかなぁ。何しろ、マイクで録音している音源なのだから、これ実際に部屋に響いてる音だからね。音楽より音デカいよ。

そもそも、何故こんなものが録音してあったのだろう。一体誰が録音していたのか。英語での喋りを聴いていると、どうやら「今歌はこれくらいまで完成してますよ」という事を誰かに説明しているように聞こえる。或いは、ヒカル自身が自分自身の為のメモとしてマイクに向かっているのかもしれない。そうするとここは部屋なのか、スタジオなのか。よくわからない。あとでもう一度インタビュー読み直してみるわ。

もしかしたらこの「ガチャコン」、演出かもしれないな。実際にはこんな音が鳴っていない、或いは鳴っていてももっと小さな音だったかもしれない。へごちんの腹は実際に鳴ったのだけどアニメに起こす時には音を付け足した、みたいなな(何の話だよ)。つまり、この奇妙な二部構成は、ただ発掘された音源を繋ぎ合わせたのではなく、かなり凝って編集されているのかもしれない。

ちょっと疑心暗鬼気味だが、まぁもしそうだったとしよう。私がプロデューサーだったら、この奇妙な二部構成でプロモーション・ヴィデオを作ろうとするだろう。出来れば、Fluxmationのようなアニメーションがいい。イン・マイ・ルームでリラックスしている主人公が、欠伸や咳払いをしながら歌を歌ってみている。それが一転、スタジオやステージに場面が転換してDemo Versionの歌を本格的に歌う…という構成だ。これを、例えばCSの音楽専門チャンネルのみでゲリラ的に流す。何の予告もなくこのヴィデオに遭遇した人は「一体これは何なんだ!?」と面食らうだろう。プロモーション効果は絶大な筈だ。今頃言ってももう遅いけど。

いや、遅くはないか。今後、Distance以降のアルバムも記念盤が発売されそれぞれの時期のDemo Versionが発表される筈だ。それに合わせて、上記のようなプロモーションヴィデオを作ればよい。あクマで音楽専門チャンネル限定、或いは地上波なら深夜帯のみだ。所詮はDemo Versionなのだから、多くの人の目に触れない方がいい。「うわ、何やってんのこれ、もしかして宇多田ヒカル本人?」と思わせて豪華盤に手を伸ばしてもらえればよい。次回本気でやってくんないかなぁ…。