無意識日記々

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全米デビュー10周年

台風が来てるねぇ。どなたさまも、くれぐれもお気をつけを。

昨日今日はUtadaの全米デビュー10周年記念日になる。EXODUSがリリースされたのが10年前…感慨深いやら何やら。残念ながら10周年記念の動きはさっぱり皆無なようだけれど、愛聴している身にとっては一言振り返ってみたくなるタイミングである。記念日関係なく普段から振り返ってる気もするけれど、まぁいいじゃない。

意義としては、全米デビュー及び世界各地でのデビューという事で、本来なら日本国内デビューより更に大きなニュースである筈だったのだが、さほど売れなかった為そこまで話題にならなかった。それに、元々アジア圏では既に一定の認知度が得られていた為、宇多田とUtaDAの間にそこまでの違いは見いだせなかった、というのもある。なお日本国内ではミリオンヒットで、2004年の年間アルバムチャート第6位、当時の洋楽チャート最高初動記録を更新した。ほぼ一国での成績ではあるが、世界規模での契約という事で、デビュー作でのミリオンヒットはレコード会社としては破格の大成功といえた。

問題は、何故ここまでポテンシャルの高い作品をレコード会社が積極的にプロモーションをしなかったのかという点だ。一般的なのは、リオ・コーエンをはじもとした、Hikaru Utadaと2002年に契約をとりつけた首脳陣が入れ替わった為、というものだが、もう一点論点をメモ変わりに書いておく。それは、EXODUSに制作費をかけなかった事だ。

当初はマライア・キャリーを引き合いに出したりして、"5億円契約"などと騒ぎ立てられたりしたが、結局EXODUSは、数曲でゲストを招いたものの、基本的にはセルフ・プロデュースの作品となった。1日100万円のスタジオを一年間借りたとしても余る金額を費やせたとはとても思えない。

つまり、EXODUSに関しては、「制作費回収」という宣伝費をかける為のお題目が使えなかったのだ。眠っていても(は流石に言い過ぎだが)日本での大ヒットは目に見えている、何もリスクとコストをおかしてプロモーションをする必要はない、僅かな制作費は日本での売上で回収できる―そう"新しい"上層部が考えても不思議ではなかっただろう。本来なら全米で発売された洋楽の日本盤で制作費回収なんていうシステムにはなっていない筈なんだが、1ヶ月近くもの日本先行発売は、即ちこのアルバムのメインが日本国内であった事を示唆する。勿論今も昔も日本からの輸出盤は価格が高すぎて海外で売れてしまうような事はない。

もしかしたら、豪華なプロデューサーを迎えて派手に制作費を浪費した方が、レコード会社もプロモーションに躍起になってくれていたかもしれなかった。そんな歴史のifも考えたいところだ。事実、次作のThis Is The Oneはプロモーション規模に相応しい成功を収めている。次はどうなるか知らないが、いずれにせよHikaruの事を尊重してくれる人が上層部に出現するか、そこがポイントになるだろうね。