無意識日記々

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砂の落ちるのを眺めるが如く

そういえばtofubeatsクンが面白い事を言っていたな。「time will tellはそんなに前向きでも明るくもない」みたいな事を。今回のカバーではそこらへんのところを表現したかったんだとか。

この曲のイメージか。私個人の感想をあらためて言わせてもらえれば、「既に人生を一度生きてきた老人が15歳の小娘の姿を借りて歌った曲」だ。第一印象からずっとそう。『時間がたてばわかる』と言った時の悟った感。この子は"2度目の人生"を生きているのだろうか、RPGでいえばクリアして強くなった状態でゲームを初めからリスタート、みたいなな。だからこどもっぽくもありおっさんぽくもありという風変わりなキャラクターを持っているんだろう、と。

そんな訳なので私のtime will tellのイメージは「時の翁(ときのおきな)/Father Time」だ。若い女の子の身体に年老いた男性の精神が宿っている。

そういうイメージを所持しているものだから、tofubeats with BONNIE PINKによるこの"time will tell"の、超スロウなグルーブはオリジナルのサウンドよりある意味ずっとフィットする。老人は時間の流れの感覚が違う。非常にテンポがゆったりしていて、絞り出すように言葉を発するが、その行間には経験に裏打ちされた様々な考察やら弁別やらが駆使されている。それは、このトラックのグルーヴの合間に挟まれた種々のギミックとすらすらと呼応していく。

つまり、私からすれば、オリジナルのtime will tellサウンドは、若い女の子の肉体性を前面に押し出したもののように聞こえ、一方で、tofubeatsバージョンの方は年老いた男性の精神性をグルーヴに載せて押し出したサウンドであるように聞こえる。どちらを前に出すかの違いだけで、基本的な楽曲のスタンスは変わっていない。同じ日の昼と夕方の間に八割方出来上がったトラックとは思えない、長年のファンならではのタメと瞬発力が結晶化したトラックとみていいんじゃないかな。