無意識日記々

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UHのuh

あれま、「パクチーパクパク」って書いてたけど歌詞カードだと『パクチーぱくぱく』って平仮名なのね。特に意味はなく気付いてなかっただけです。

『こりゃなんだコリアンダー』(笑)

そつがないよねぇ。ただの駄洒落なんだけど、落として来ない。で、きっちり落とし込んでくる。これを聴いたら一瞬ギャグソング・コミックソングに聞こえそうなんだけどフルコーラス聴き終えた頃には印象がすすすっと変化している。本当に見事なものだ。

鍵になってるのは、『パクチーぱくぱくパクチーぱくぱくパクチーぱくぱくパクチーぱくぱく』と続いたあとの『uhhhh〜♪』でしょう。あそこで空気がパッと変わる。そこから順番を逆さにした『ぱくぱくパクチー』に繋げてメロディーがひとまとまり。最初の『パクチーぱくぱくパクチーぱくぱく』が"起"、次の『パクチーぱくぱくパクチーぱくぱく』が"承"、『uhhhh〜♪』が"転"、『ぱくぱくパクチー』が"結"ときっちり起承転結になっている。

この『uhhhh』があるかないかでえらい違いだ。『パクチーぱくぱくパクチーぱくぱく』の部分だけだと本当にただの童謡にしかならんのだが(それでも名曲になってたと思うけどね)、この『uh』がAメロ部分のしっとりとした大人な雰囲気を誘い出す呼び水になっている。『uh』と歌われた瞬間に「え、そっちの空気に行けるの?」と思ったが、まさに。サビの転部を担いながら楽曲全体の雰囲気を事前に示唆する伏線の役割を果たす『uh』。Utada Hikaruのuhですよこれはまさに。

だってねぇ? 最初の『こりゃなんだコリアンダー』の時点では最終的に『泣いたらとてもお腹が空いてた事に気づくよ』に着地するなんて夢にも思わないじゃない? またここの歌詞も人生の苦味をパクチーの味になぞらえて更に食べる話で終えてるのが秀逸過ぎるんだけど、こりゃなんだからここまで滑らかに繋いでくる第一歩が『uh』なんですよ。ここナシでは『パクチーの唄』は成り立たない。最重要パートのひとつです。

ライブでギター弾き語りとかして欲しいけど、そこでこの『uh』を歌い忘れないようにしないとね。

それにしても、この唄に違ったコード進行を持ち込んだのはなりくん(小袋成彬)だそうだが、もしこの『uh』が彼の発案だとすれば作曲者クレジットに名を連ねているのも納得。ほんの一音(の長音)だが曲にとってクリティカルな効果を齎したのだから貢献度極大なのですよ。