滞り無くCharlie Puth featuring Hikaru Utadaの“Home”が2026年3月10日火曜日午前1時に配信開始となった。結局、日本時間で『First Love』と『One Last Kiss』の発売記念日に合わせてくれたって事なんだろうかな。プロモーションしやすくてSONYも助かるわ。ありがたい。
んで。事前にある程度歌詞が開示されていた為、ついつい「“あなたが待ってる”に似てるなぁ」という話が先に来てしまっていた(そしてフルコーラスを聴いてますますそう思っている)のだけど、取り敢えず今回のコラボの事前の注目点は以下の通りであった。
・日本語歌詞/ヒカルの歌うパートの配分
・ヒカルによる他人の曲での歌唱アプローチ
・MVはあるか否か
まぁつまり、米津玄師との「JANE DOE」とほぼ同じ観点から評価ができるかなと。
果たして、その結果はやっぱり
「ヒカルすげぇなブレねぇな」
であった。チャーリー・プースといえば、名前の響きの軽さとどってことないルックスのせいなのか(?)日本では大して人気はないけれど、アメリカでは、あるいは世界的に見てもトップ・オブ・トップのシンガーソングライターであり、彼との共演ともなると襟を正さねばとなるものなのだろうに、やっぱりというかなんというかどこに行って誰と仕事しても宇多田ヒカルは宇多田ヒカルのままなのだった。相手の世界観を壊さずに自分らしさを存分に表現できる繊細な気遣いと筆遣いはもうコラボ安心印過ぎて今後ますますオファーが増えそうな予感。国内外問わずね。
パッと聴いての第一印象は、事前にチャーリーが「この曲では90年代のリズムセクションを導入してる」とコメントした通り確かにイントロのリズムパターンは『For You』『Parody』『タイム・リミット』あたりを想起させる(なお収録アルバム『Distance』は2001年の発売』)ので、チャーリーもそこらへん、つまり、ジャム&ルイスやネプチューンズなんかとの共演曲を参考にした模様なのだが、私は寧ろ最近のヒカルの楽曲、『Electricity』や『Mine or Yours』なんかもちゃんと意識してメロディを作ってくれてるっぽいのが嬉しかったな。歌詞もどこか『Mine or Yours』からの続きという雰囲気があるし。コーヒーと緑茶がどちらもホットだとして、ですが。
そんな中でヒカルは、もう第一声から宇多田ヒカルだ。チャーリーが1番の歌詞で「僕は君が居ないとダメなんだ」と力説した直後にあの独特のハミングに引き続いて『ひとりの時間も大切』と来たもんだ。これが宇多田ヒカルの“ポピュラー”なのである。1番の歌詞のままではそれに共感するリスナーが「2人暮らし以上」に限定されてしまい「これは私たちの歌じゃないな」とスキップされてしまう所を、この一言でひとり暮らしの皆さんも一気に振り向かせる。アメリカの事情は知らないが、日本の独居世帯は全世代に渡って大きく増えてるんだからそこはかなりの数に上るんですよ。日本語で歌う以上、そこを掬い取らないとポピュラリティーは出ないんだよね。ヒカルの場合は、しかし、そんな風に人の数を数えてこの言葉を紡いでいるというよりは、そういった人々の存在が(いつかの自分自身も含めて)目に入って見過ごすことを出来ないから出てくる歌詞なのだろうなと、その切なくも優しい歌い方が教えてくれるのでした。
いやはや、チャーリー・プース名義で、彼がメインの作詞作曲なのに、こんなんじゃ完全に宇多田ヒカルの新曲だな。勿論、とても嬉しいです。まだまだこの先の歌詞もぐっとくるのでひとつひとつ見ていきますよ。