無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

昨日は綺麗な虹が掛かりましたが

ひっくるめて言えば、二次創作の話である。この無意識日記の目次欄にも動画のリンクが張ってある。YouTubeニコニコ動画において日々「宇多田」か「Utada」のワードを含む動画をワンクリックでチェック出来て便利なのだが、本当に毎日々々、なんらかのHikaru関連動画がUPされている。

その殆どは、「歌ってみた」即ちカラオケで、他に独自のリミックスやインストバージョンもちらほら見受けられる。既にお馴染みになっているが、著作権的には相変わらずグレーなままだ。ニコニコに関しては、包括契約があるんだかないんだか知らないが。

少し前のニュースになるが、漫画家赤松健が所謂「二次創作OK」のロゴマークを使用し始めて話題になった。読んで字の通りであるが、コミックマーケットをみればわかるように、漫画界における二次創作の作品はとんでもない規模に及んでいて、大衆文化としては日本でも、ひょっとすると世界規模でも有数の生産量となっている。そこまでになっていたのに相変わらず法的な整備は進んでおらず、こうした"公認"の取り組みがつい最近まで浮上してこなかった現実に驚きを禁じ得ない。それだけ、創作活動と法的整備というのは水と油なのだろう。

漫画界ですらそんな風なのだから、音楽業界における二次創作に関して何かが進んでいるかといえば、勿論何もない。未だに、「ダウンロード厳罰化一年経っても売上は減少した」とかそんな話題がのぼる位なのだ。とても創作上のデリケートな問題を取り上げる段階にはない。

Hikaruもまた、メジャーレーベルに居る以上、公的見解としては非・商業的な著作物に対しては黙認している感じではある。人力ボーカロイドくらいになると自ら紹介したりしていて、彼女はそういう枷とは無縁なのだが、いっそのこと、漫画界に倣って、公的に二次創作OKのサインでも出してみてはどうか、と思う機会が最近は多い。まずは商用でない創作物に関して、となるだろうがそれはつまりこちら(ミュージシャン・所属事務所・所属レーベル)としても商業的な旨味はない訳で、影響力も勘案するとなかなか難しいものがある。いざやればあっという間なんだろうけれど。

学術論文の価値を測る目安のひとつとして引用回数の多さというものがあるが、音楽家(に限らないが)の影響力を測る点においては、その二次創作の多さや広がりなどを目安にするのも、特にインターネットの普及した現在においては有効だろう。今までは売上枚数という消費活動が明白な基準だったが、カラオケランキングを挟んで、昨今の「歌ってみた」からリミックス、リアレンジへとどんどん創造性が喚起されていく様子をみるにつけ、そういった二次創作活動をどう評価していくかが、業界全体の活力に大きく関わっていくように思われる。

しかし、だからこそ消費活動は…という話はまた次回。