ハイレゾ音源の再生については、ZX1と同じデジタルアンプを使っているだけあって、敵いはしないまでも素晴らしい。3万〜4万円の価格でこれだけの音が出るのなら文句はない。付属のイヤフォンが非ハイレゾ対応という事らしいのだがこちらは試していないので何ともいえない。
ここで注目したいのは、(ZX1でも採用されている)「DSEE-HX」である。何と読めばいいか未だにわかんないんだけど、これがずっと言ってる「既存のファイルをハイレゾ擬きの高音質にアップコンバートするソフトウェア」である。カタカナ多いな。要は、MP3をもっといい音で聴けますよという事だ。ドラゴンボールでいえば超神水、いや界王拳かな。
で、試聴してみたところ、なるほど、確かにMP3音源ではごっそりと丸められている高音域の音が補完されている。結構自然に「いい音」になっている。ただ、自然過ぎる為私の第一印象は「やけに保守的だなー」というものだった。手堅すぎる。今ある音からそのまま素直に音を補完している為、ちゃんと整って聞こえるのはいいが、生真面目過ぎてダイナミズムに欠ける。その為、高音域は出ているのに開放感はやや薄めである。ハイレゾ本体が屋根を突き破って大空を見せるとすれば、DSEE HXはとんでもなく天井が高くなった、という感じ。悪くはないし、実際音はよくなるのだが、「もっといけるんじゃないの?」という感が否めない。
恐らく、それも織り込み済みなのだろう。まだこの、ウォークマンレベルでの疑似ハイレゾアプコンは始まったばかりで、まずは「アプコンで音が変になったりしないように」という点を第一に考えているのではないか。段階的なアプローチの第一歩としては全く正しい。という事は、今後DSEE HXはアップデートされ進化していくという期待が持てる、という事だ。未来が楽しみな技術である。
それはつまり、さてこれが我々の関心事なのだが、最大でも48kHz24BitでしかないFirst Loveのアップコンバートは、DSEE HXよりも数段優れていると期待できる、という意味をもつのである。HXはあらゆる音楽に対して最大公約数的なアプコンしか出来ていないが、First Loveに関しては超一流のエンジニアがこのアルバムのサウンドに特化してアップコンバートできるからだ。少なくともまだまだ保守的なDSEE HXよりは遥かに期待出来る。
ただ、DSEE HXが予想通りに今後進化していくとすれば、次第にFirst Loveに今回施されたアプコンの価値は薄れていくだろう。裏を返せば、この3月10日にハイレゾ音源を購入して聴く分には、かなり大きな感動も期待出来るかもしれない、いうなれば、買って聴いて価値があるのは今のうちかもしれない、という事になる。実際に購入するかどうかは、貴方の判断次第です。私は買うけどね〜…というのも、さっきそのF880買ってきちゃったので♪ 次回はまだ無理かもしれないけれど、後日タップリレポートしますね〜。実際にmoraでハイレゾ音源を購入して、聴き比べしてみます☆ ザ・人柱!(笑)