無意識日記々

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SingleCollection1&2-ハイレゾ配信

宇多うたアルバムの陰に隠れて…もいないか。SCv1&v2のハイレゾ化も随分なニュースである。そちらの話を。

まず、何故SCv1&v2なのか。Distanceではいけなかったのか。全くの推測だが、First Loveアルバムのハイレゾは、曲単位で、First LoveとAutomaticばかり売れたんじゃないのか。それだったら、宇多田ってのはアルバムよりシングルの方が人気が高いんじゃないか、と…。

もしそういう考えでSCv1&v2を先にとなったのなら、何か違う気がする。First Loveアルバムは、15年前にCDを買っていた層の大半…まではいかないにせよ何割かは必ず持っていたアルバムであるから、「ハイレゾってどんな具合だろう」と興味を持った人がまず聴いてみたいと思うのがFirst Loveである確率が非常に高い。CDといちばん聴き比べされやすい作品なのだ。

たぶん、ただそれだけだ。確かに、それならSCv1&v2を、となるんだけど、冷たい事を言うと、もうハイレゾを買う人は殆ど残っていないんじゃないかな。配信を買って聴いてみて「ふ〜ん」で終わりだと思う。その中で、極僅かに残った「音いい!他の作品も欲しい!」と言い出す人(例:私)が次に欲するのは当然オリジナルアルバムだ。SCなんか出されてもまた曲が重複してしまうだけである。となれば、今回の配信は惨敗になるんじゃないかという予測がつく。売れる理由があんまりない。シングル・コレクションを欲しがるのはライトファンと「出したもんは全部買う」コアなファンであって、既にオリジナルアルバムを持っている人には必要ない。BWPbAMとv2d2を配信購入すれば事足りる。ハイレゾ購入とソリが合うとは思えない。もっともそれは相対的な話で、他のコンテンツとは知名度と実績が違い過ぎるのだからある程度は売れるだろう。FL15よりは下がるんじゃないかという話だ。

ハイレゾ配信は、それがハイレゾである前に、「また新しいリマスタリング」である事が重要だ。寧ろ、こちらの方が音への影響は大きい。FL15の時も、CDとハイレゾではそもそもリマスタリングのコンセプトが異なっていたから違う音が出ていた。どちらの音質がいいか一概には言えるものではなかった。

今回はCDが出ない為、比較は10年前と4年前の作品になる、のだが、そもそもこの2作品自体、オリジナルアルバム収録の曲をリマスタリングしたものであるから。今回は「リマスタリングリマスタリング」になる。自分でも何を言ってるかよくわからねーが(笑)、テッド・ジェンセンがこの10年でどれだけ進化したかを、First Loveアルバム以外の曲でも体験できるものになるわけだなこれが。

問い合わせが多かったのか、今回は販売ページで元ソースのビット深度とサンプリングレートが事細かに記載されている。中にはアナログマスターもある。誤解が多いかもしれないので補足しておくと、アナログとデジタルでどちらが高音質かという質問には意味がない。職人たちの魂が籠もってる方がよい音が出る…というと精神論みたいだが、実際アナログオーディオの方が歴史が長いのでノウハウの蓄積がデジタルオーディオと較べてもずっと多い。オーディオの歴史とは職人たちの歴史なのだから、彼らの魂が宿っている方がいい音がするのは当然の事なのだ。

話が逸れた上に長くなり過ぎてしまったので一応確認しておくと、再リマスタリングするからには、取り出してくるマスターはシングルコレクションなサウンドではなく、オリジナルアルバムのマスターだろう。というか、でないとリマスタリングにならない。という事は、今回のSCv1&v2は、実は昔販売したのとは別の作品になるという事だ。何故なら、10年前と4年前のリマスタリング作業の恩恵を受けていない筈だから。v2d2の5曲は別だけどね。だったら、今回は、せめてv1だけでもジャケットを新調した方がいいような気がする。配信でジャケットってのもあるんだかないんだかだが。それとも、もしかして配信でも"v1&v2"で1作品として販売する気なのか? 続報を待ちたいと思う。