無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

Q&A by A&R

梶さんがインタビューに答えていた。この時期にこんな記事を掲載するなんつ、どこの誰だか知らないけれど、わかっていらっしゃる。興味深く拝見した。

見出しにも出ている通り、梶さんは情報の「余白」を強調する。「宇多田ヒカルのうた」を出した時に、情報を順次小出しにしてSNSをバズらせたと。うむ、堂々とその仕掛けに引っかかってしまったな私も。うまくやるもをだ。

しかし、梶さんは「今の時代だからこそ情報量の調整が大事」な旨話しているが、これは別にSNS全盛時代の今に限った事ではない、ヒカルがデビューした1999年当時も同じ事が起こっていたのだ。

16歳のヒカルは学業を優先させる為当初は“芸能活動”を週末のみに絞って仕事をしていた。結果非常に露出が少ないままデビューを果たし、人々が見る映像といえばオートマの中腰Hikliくらいのものだった。地上波のテレビに初出演したのはデビューから半年以上、ファースト・アルバムのリリースからも3ヶ月以上経ってからの事だった。その為人々の注目は一気にそこに集まり、各番組の歴代最高視聴率を記録していったのである。

こちらは結果論だ。学業優先の姿勢が、そういう結果を生んだというだけ。しかし、現実に、「ミステリアスなヒカル」に関する話題は飛び交った。藤圭子の娘というが、一体どんな子なんだろう、レニー・クラヴィッツも推してるんだって!へ〜、といった具合に噂だか何だかの部分で随分と取り上げられた。渇望を煽って話題性を生む手法は、17年前からしっかり実践されていたのである。

たった今現在も、同じ事は起こっているのだろうか。或いは、これから起こそうてしているのか。まだちょっとわからないが、情報の「余白」とはただ情報量を絞ればいいというのではない。「あなたには知らない事がありますよ」と教える事だ。つまり、クイズでいえばアンサーではなくクエスチョンを情報として発信するのが「余白」の生み方だ。解答欄を「空白」にして問題用紙を配布するのである。答をただ配布しても読む気すら起こらないかもしれないが、そこだけ空いてたら「一体何なんだ」となる。そこが狙い目である。

いい問題の出し方。宇多田ヒカルのA&R(アーティスト&レパートリー:レコード会社の宣伝等を引き受ける役職;通称"レコード会社担当氏")として、ここからの梶さんに求められるのはひたすらにこれに尽きる。是非々々頑張ってうただきたい。