週末に襲撃されたアイドルさん、つい先日事務所を離れてフリーになっていたんだとか。前に居た所は舞台役者さんがたくさん居た事務所なので、路線変更をしようとした矢先だったのか。デビューはアイドルユニットだったというし、ストーカー被害の典型例として取り上げるには条件を整理する必要があるだろうな。
レコード会社とか事務所とか、そこらへんの組織を混同している人は珍しくない。芸能界と音楽業界で事情は違うし、これが演歌等ジャンル毎にも状況が違う。それを取り違えているのは一般人だけではなく、メディアの方も同様である。
ヒカルはかつて自分の事を冗談で『げいのうじん』と自虐的に揶揄した事があったが、こちらなりの解釈でいえば、芸能界の理屈で生きていないのに芸能界から芸能人扱いされている、といったところか。そもそも芸能界というターム自体使い方がおかしい。本来ならテレビ業界とでも呼ぶべきものだ。
テレビ業界や出版業界の中で生きているならゴシップに取り上げられるのももちつもたれつかもしれないが、その外に居るヒカルにはデメリットしか配分されない。しかし一方でレコード会社の方は少しばかりテレビラジオ雑誌新聞といったメディアを有効利用しているので接点がまるでない訳でもなく、そこらへんの曖昧さがヒカルにデメリットを多く運んでいるともいえる。
本来ならここで所属事務所が対処法を考えるべき所だが社長は照實さんだ。彼はマネージャーあがりではなく、クレジットはいつもプロデューサー、どちらかというとミュージシャンあがりである。あがってないか。彼が考えているのはいつも音楽やスタジオやライブの事であってマネージメントは家族経営の延長線上にあるようにみえる。家族であれもこれもやってきた名残のまま今に至っているというか。
実際、宇多田ヒカルの体制を理解して貰うのも難しい。ヒカルの場合プロデューサークレジットはヒカル、照實さん、三宅さんの3人で、つまりそれはアーティスト本人、事務所の社長、レコード会社の重役、という組み合わせだった。つまり各セクション(アーティストセクションは1人だけど)の代表による会議が船頭役だ。更に今は三宅さんが所属レコード会社にもう居ないから外部からの参加という事になり、ユニバーサルからは沖田さんがディレクターとして名を連ねる。プロモーションリーダーは勿論梶さんで変わらず、だ。こんなややこしい体制の体質を理解しろというのは無理がある。
それに、先述の通り案外マスメディアを利用する。『花束を君に』なんて公共放送の電波を毎日利用しているのだ。その上ヒカル自身がどのミュージック・シーンにも属していないから扱いは最早ただの個人名ブランドで、これはメディアのやりたい放題になってしまう。
事務所が強力なら皆さんご存知のように各メディアに"丁重なお願い"をする事も可能だろうが、家族経営の延長線上にあるマネージメントには無理な相談。はてさて、この種の問題を解決するには一体どうしたもんじゃろのう。