7年前の今日、2010年の2月8日はNYのIrvine Plazaで『Utada In The Flesh 2010』のLIVEがあった。その模様は不完全ながら『In The Flesh footage』で観る事が出来る(半分はロンドン公演だからね)。もうあれから7年経つのか、というのとまだ7年しか経ってないのか、というのが綯い交ぜになっていてちょっと変な気分だ。
しかし、状況は随分と変わった。この間ONE OK ROCKがビルボードの100位代くらいにランクインしたらしい。「へーっ!」となった。彼らは、言っちゃ悪いが(アメリカの人たちから見れば)何の変哲もないロック・バンドで、例えばDir en greyのような図抜けた個性がある訳ではない。アメリカになら掃いて捨てれるくらいにそこらへんに転がっているようなタイプである。それは言い過ぎにしても、つまり、さほどの新奇性もなくオーソドックスなスタイルで日本人のバンドがアメリカでチャートインしてくるとなると、これは本当に変化が始まっているのかと遠く極東の島国から思いを馳せざるを得ない。
昨年の日本のアーティストで最もエポック・メイキングだったのはBABY METALだった。全米39位、全英15位。ウェンブリー・アリーナをヘッドライナーで満員にしてツアーをスタートさせ東京ドーム2daysでツアーを締めくくった動員力。掛け値無しに世界に轟く、日本を代表するグループとなった。
昨年の春頃だったか、『Kuma Power Hour』でお世話になったピーター・バラカン氏がBABY METALの事を「まがいもの」と言って切って捨てていたのは笑ったな。まぁ元々彼からしたらメタル・ミュージック自体が「まがいものの音楽」だろうから、「まがいもののまがいもの」みたいな事になっていやそれは最早別の何かだよねと突っ込むしかなかった。いずれにせよ旧世代に理解して貰えない方が「新しい音楽の時代が始まった」と思えて、いい。
でもBABY METALに関しては全然そんな事はなくて。ロブ・ハルフォードをはじめとしてメタルの大御所たちは皆BABY METALをWelcomeだ。つまり、彼女らの存在は古い世代にも受け入れられ易い。そういう意味で革命的という訳ではない。寧ろ、こんな事をしてまがいものにならなかったから凄いのだ。
7年前、『This Is The One』でヒカルは、シーンに対して違和感のない音楽で挑んだ。つまり、センセーショナルに物議を醸すよりは、波風立てずに、普通に、自然に溶け込もうとした。いわば「郷に入っては郷に従え」を実践したのだが、この次はどう出てくるか。どちらも出来るというのも考えものだ。既にiTunes Store USAでは総合2位を記録している訳で、きちんと米国々内盤がリリースされれば、それなりの結果が出るだろう。『Fantome』は米国々内盤がなかったのか、ワールド・チャートで取り扱われていたからね。
ただ、『Fantome』で着手した「日本語の歌を新しい次元に押し進める」仕事の続きはどうするんだ、という気分はある。まだ完成形でもなんでもない筈だ(なのにあの威力なのだから脅威、いや恐怖でしかない。末恐ろしい。)。
しかし、『HEART STATION』みたいな超強力アルバムを作っておきながらツアーもせずに米国に行ってしまった人なので、心底いきあたりばったりなのだろう。所帯を持って7年前とどう変わったか、変わっていないか、これから暫くゆっくり見届けさせてもらいましょ。