無意識日記々

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「皆さんお馴染みの名曲を披露」

そして「音の良さ」以上にライブの成否を決める重要な要素がある。「曲の知名度」だ。

有名な曲を披露する。ライブの盛り上がりはほぼこれにかかっている。これに較べれば音が悪かろうが歌が下手だろうが演奏や照明がグダグダだろうがものの数ではない。口パクだって構わない。「皆さんお馴染みの名曲を披露」こそがライブの要諦であってこれより大事な事といえば本人が舞台の上に出てくる事くらいなものだ。

その点宇多田ヒカルは鬼のように強い。どれだけ調子が悪くても『First Love』さえ歌い切れれば聴衆は大体納得して帰る。もし歌わないのなら、幾ら音がよくてパフォーマンスが最高でも観客は不服を申し立てるだろう。

…と言ってたのは、今は昔、なのだろうか? 今までそこまで影響のなかった「聴衆の世代交代」について考えなければならない時が来ているのかもしれない。

我々の若い頃と違って「過去の名曲」はすぐにYouTubeで聴ける。思っているほどギャップは無いのかもしれない。それ以上に影響力が強いのは地上波テレビで、事ある毎に流れてくるのが『First Love』である事を考えると、リアルタイムであの頃を知らない世代も反応は似たようなものになっているかもしれない。

問題は他の曲か。『Can You Keep A Secret?』は年間1位曲だが、普段触れる機会は余り無い。ドラマ「HERO」との紐付きが弱いからか。もしかしたら「新劇場版ヱヴァンゲリヲン」が取り上げられる度に流れる『Beautiful World』の方がお馴染みかもしれない。

実際、本来は逆の話なのだ。ツアーの度に演奏される事によって楽曲はファンにとってお馴染みとなっていく。しかしヒカルの場合平均ツアー周期が長い為その理屈が使えない。『In The Flesh 2010』に行ってるかどうかで大分印象が違うのだがそれは言っても仕方ない。

自力というより、メディアの力を借りて醸成された「お馴染みラインナップ」が現実のライブでどう出るか。それとともに『桜流し』以降の曲についても考慮に入れねばなるまい。次はそこら辺の話から。