無意識日記々

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失われた恭しさ

『Eternally Drama Mix』発売から9年ねぇ。後にコンピレーションに収録される事でCD化を果たしているとはいえ基本は配信限定だった。その前の『Prisoner Of Love』まではフィジカルシングルが出ていた訳だから、ヒカルの新曲が配信限定になってちょうど9年という事になるのか。Drama Mixを新曲と呼んでいいかはわからないが。

良し悪しは当然ある。そもそもフィジカルを買わなくなったリスナーが"悪い"訳で、なのにフィジカル発売したくなった途端に「CDで欲しい」と言い出すから始末が"悪い"。…こう書く事も出来るし、「時代に合わせてフィジカルを値下げしなかったレコード会社が悪い」とも言える。しかし悪者探しは私たちには関係ない。

やはり、まず店頭で買うというのは高揚感を助長する。店内のレイアウトをみて、今回の新曲は力入ってるなーと何となく思うだけで歌の伝わり方が変わってくる。アナログレコード時代はもっとサイズが大きかったし再生行為も恭しかったから、更に高揚感が増していた。儀式の力で音楽の価値が上がっていたのだ。自然と聴く耳にも力が入った。

配信時代はあっさりし過ぎているほどあっさりしている。その軽さに合う音楽ならいいのだが、例えばヒカルの『Be My Last』などはアナログレコードで買った方が評価が高かったのではないか。音質の問題ではなく、リスナー側の心構えの違いで。

本来なら、だから配信限定シングルは気楽に聴けるタイプの曲を選ぶべきだ、と話が続くのだがヒカルは全くその点に関して頓着していない。『真夏の通り雨』なんて12インチシングルに針を落として聴くような重厚さだ。それに見合ったフォーマットを考えたい所なんだが現実はまだいい案が思い浮かばない。できればリスナーの心理を誘い込める"聴かせ方"を見つけたい所なんだがな。