無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

Why did she suddenly appear?

…梶さん何企んでんだ?

まぁそれはいいか。

デビュー20周年イヤー、というのは大抵宇多田ヒカル名義の話になるのだろうが、ソロアーティストとしてのデビュー記念日は今日である。アルバムは二週間先だが、それに先駆けて『Close To You』のマキシ・シングルが、Cubic U名義でリリースされたのである。

よく考えたら(考えなくても)カバー曲でのデビューだったんだな。まずは、有名曲で耳目を引きたい、とでも思ったのだろうか。宇多田ヒカル名義の方は、流石に750万枚は予想できなくても、その100分の1位は売れるんじゃないかと期待されてデビューした訳だ。プロモーションにそれなりの力を入れられるから、オリジナル曲でのデビューを狙った、狙えたんだと。

それに対してCubic Uの方は、そのような派手なプロモーション体制は望むべくもなかった。殆どインディーズのような立ち位置でのデビューだったからこそ、まずは有名曲ねカバーから入って、アーティスト名を覚えて貰おう、という寸法だ。恐らく、想定されたマーケットのサイズは宇多田ヒカルのそれの更に100分の1、つまり数百枚単位の世界だったのではなかろうか。

つまり宇多田ヒカルは、20年前の今日の時点では、実際に向き合う事になるマーケットの10000分の1の規模しか相手をしていなかった、しようとしていなかった事になる。そこから僅か一年半足らずでそこまで上り詰めたのだ。まさにシンデレラストーリー。もっとも、藤圭子の娘という正真正銘の歌姫の血統ではあったのだけれども。一休和尚が時の天皇落胤だったという俗説を思い出したわ。そんな話もあったねぇ。

もし仮に、20年前の今日私がこのマキシシングルを聴いていたならきっとファンになっていただろうなと思う。前々から何度も書いている通り、Cubic Uによる『Close To You』のカバーは完璧である。或いは照實さん、まずは圧倒的な歌唱力を知って欲しくてカバー曲をデビューシングルにしたのかもしれない。その辺の話に詳しい人がいらっしゃれば是非お話を伺いたいものである。

まぁ勿論、10000分の1サイズ・マーケットの女性シンガーのマキシシングルなんていつでもメタラーの自分の耳に入る事もなく。『Automatic』が流れてくるまでその存在も知らなかったのだが、こうやって振り返ると…やっぱり奇妙なものだな。

今日からヒカルに対して「20年前から」とか「この20年間」とか使える訳だ。今Cubic Uの音源をEMIがどうにかしているという話はきかない。20周年記念盤『Precious』出したら売れるだろうにねぇ。つまり、もうCubic U名義の作品は今後リリースされる事はないのだろう。何だかちょっと寂しいが、取り敢えず5年後の25周年までに色々と整理しておいてくれると有り難い。いつか「Hikaru Complete Works Vol.1」とかいったタイトルのボックスセットがリリースできるように、といういちファンからの切なる願いです。