「プロフェッショナル仕事の流儀」で目を見張ったのは、タイアップもついていないアルバム曲である『夕凪』を大胆にフィーチャーした事だった。内情を想像すれば、他の楽曲制作がスムーズ過ぎて番組になりそうになかったとか、取材時期にたまたまその曲の作業だったからとか色々と浮かぶのだが、地上波テレビ番組でアルバム曲が堂々と流れ続けたという事実の前では些末な事だろう。
ギャグ一歩手前のナレーションは日本ならでは(らしいよ)の「ツッコミワイプ文化」の結果なので、あれはああいうものだと受け取っておく。前身番組である「プロジェクトX」をヒカルはいたく気に入っていたのでそれもまた伝統みたいなものだろう。
NHKという事でCMもなく、どっぷりとヒカルにハマれた50分間だった。チョコを頬張る姿から作業中の真剣な表情まで、もうこのまま写真集出せばいいんでないのというバリエーションの豊富さ。一応裏方作業な筈なのだが、雇われメンバーたちも音楽監督が朗らかな御婦人という事でどこか嬉しそうだったような。座談会最終回(アンケート第2回のタイミングいつにしようか。票数は半分位になりそうだが)で言っていた"Is it impossible ? or just difficult ?"のスパルタさも笑っていられたというのはヒカルのキャラもあったのかもしれない。
この座談会最終回の内容、「プロフェッショナル仕事の流儀」の放送が終わるタイミングを見計らっての更新だったら大したものだが、偶然だろうかな。わかんないけど、音楽を聖域とみなす理由が「人に気を遣わなくていいから」というのは、言いたい事はわかるんだけど意外と狭いエレベーターを思い出して切なくなった。人と居ると疲れる、という事か。今回も『Play A Love Song』のバックコーラスで炸裂しているねぇ。
でも、スタジオは結局人が溢れていて「新しい社会」をそこに築いている訳で、要はそこに誰が居るかが重要なんじゃないの。やっと今になって、一緒に居て意味のあるメンバーが寄り付き始めたというか。殆ど初めて「仲間意識」みたいなものがヒカルに芽生え始めているとしたら画期的な事、なのかもしれない。
もっとも、人間活動中の事を我々は知らない訳で、そこで知らない仲間とつるんでいるのかもしれない。でも結局は音楽が聖域という人がスタジオの居心地のよさを前提に生きているので、仲間をみつけるのもその場所だったってのが解り易いんでないか。