無意識日記々

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著作権=CopyRight=複製の権利

The Beatlesといえば、来年2012年で(英国での)レコードデビューからちょうど50年、半世紀である。という事は何かにつけてお祭り騒ぎが巻き起こるのではないか―という当然の予想ができると共に、やや懸念といえる節目も迎えるのである。英国では、発売から50年で著作権が切れるのだ。

著作権、と一口で言っても包括的な定義は難しい。著作隣接権、なんてのもあるし、原盤権だとか出版権だとかいう用語もある。国や時代によっても事情が違う。今"英国では"、と言ってみたものの、この国の事情もまだまだ予断が許されないらしく、この50年という数字もいつまで有効かわからない。実際、アメリカでは"ミッキーマウス延命法"と揶揄されてきたように、失効直前になって著作権保持の期間が延長されたりしていて、なかなか一筋縄にはいかない話題なのである。

であるからして、ここでは物凄く大ざっぱに、著作隣接権やら原盤権やら国ごとの事情やらも区別せず、時期や時代も特定せず、僕らに影響があるであろう、興味を引くであろう一点のみを取り上げておく。

それは何かといえば非常に単純、The Beatlesが(解散から40年以上経過した今も尚)EMI所属のアーティストであるという点だ。彼らのバックカタログは今もって強力で、アメリカでは旧譜だけで毎年ゴールドディスク、なんて話もあった位。世界中で、(新しいものもあるにはあるが)古いモノを出し続けるだけで濡れ手に粟で(は言い過ぎだけど)収益を上げてくれるコンテンツ。EMIがこの史上最強のロックバンドの権利を手放す筈がない。経営難が伝えられる中、何が何でも看板アーティストとして死守したいだろう

という事は、EMIと世界契約を結んでいるHikaru Utadaの動向もThe Beatlesと無縁ではいられないのである。The Beatlesの権利をEMIが何らかの形で手放せば、収益はガタッと落ちるだろう。それによって身売りのモチベーションがあがりレコード会社業界の再編が加速していく―という考え方も出来る一方で、The Beatlesを擁するから高値での買い手がつく、即ち売却に積極的になる、なんて考え方も出来るかもしれない。いずれにしてもThe Beatlesの動き次第で、EMI World Wideの方向性は変わっていくだろう。動かない事も含めてね。

日本という特殊な市場で考えた時、EMI UKの身売りが即EMI JAPANの変化に結びつくかといえば、そうとばかりも限らない。三宅PがEMIを退職して選んだのが国内大手独立系の会社な事は示唆的だ。独立系、インディーズといってもただ海外での(昔でいう)四大メジャーを親会社に持たないというだけで、日本国内に於いてはそういったメジャー系と遜色ない販売網と実績をもっている。EMI UK、或いはGlobal、World Wideとの契約は残しつつ、日本国内では別のレコード会社、或いはその逆に日本ではEMI JAPAN、しかし世界では…様々なオプションがHikaru Utadaの場合考えられる。

が、当然ながら、人間活動前にわざわざEMIと世界規模契約を結んだ事を発表したのだから余程の事がない限り世界中のEMIからのリリースとなるだろう。SC1発売時のEMI UKのプレスリリースを思い出せばわかる通り、Hikaruの売上は日本国内のみの規模でも本社から重要な収益源として期待されている。それから大幅にスケールダウンしているとはいえ、市場比率でいえばまだまだ強力、そうそうEMIとのタッグは解消されそうにない。

しかし、UMGとの契約だって当初はまさかたった3枚(実質2枚)で終わるだなんて考えてもみなかったのだ。UMGのトップの交代劇が遠因の1つとすれば、三宅Pの居なくなったEMIの吸引力は、如何に新たに契約を結んだとはいえ盤石とまでは言い切れないかもしれない―いずれにせよ、The BeatlesをはじめとしたEMI所属アーティストの動向や、業界再編の動ききなど、Hikaruの留守中に何が起こっていくか、具に見ていった方がいいかもしれない。