『keep[ki:p]』の長音部については前回挙げた通りだが、"k"については更に前に触れている。もう一度取り上げてみよう。
kの音、即ちカ行に関して光は『カ行に弱いガール』とか自嘲気味に話していたが、この曲では数は少ないものの要所にカ行の音を配置している。物議を醸す事を覚悟の上でそれでも配置したのが『将来、国家公務員だなんて』の『国家公務員』は"こっかこうむいん[KoKKaKoumuin]"なのでカ行の音が３つ入っている。こんな美味しい素材を目の前にしては使わざるを得なかったのだろう。
このカ行攻めは、その前のサビの同じメロディーのパートにも現れている。『クールなポーズ決めながら』の『クール[ku:ru]』と『決め[kime]』 である。ついでに付言しておくと、『実を言うと』と『だなんて言うな』は『言う』が重なっている。言うの忘れてたよ。それはさておき。
また、gの音、即ちガ行もカ行と並べて使っていると意識して歌詞を読んでみればそのリズムのいい使い方に気がつくはずだ。
『どんぶらコっコ よのなカ
うキしずみガ はゲしいな
どんなとキでもカちが
カわらないのは ただあなた』
こんな感じである。使用頻度は低いものの、出来るだけ一定のリズムと間隔でカ行とガ行の音が配置されている事がわかる。
この流れを作ってあるから、最終盤の例の「かたおもい／(つ)けられない／キープトライントライン」の頭カ行に雪崩込めるのである。
斯様に、"keep tryin'"／「キープトライン[ki:p train]」というフレーズは、[k]と[i:]と[t]と[r]と[ai] に分解されて、楽曲の至るところに登場している。この徹底ぶりが、楽曲中での『keep tryin', tryin'』の連呼を耳馴染みよく聴かせる為の工夫なのである。
