無意識日記々

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前回の話の続きはまた今度にして

光のツイートに反応してみる。

とはいうものの、残念ながら私はPatsy Clineの事はよく知らないのでそういった話は出来ない。しかし、米国カントリー歌手の例は出そうと思っていたのでちょうどよかった。音楽の国内志向の話である。

野球選手の場合。日本のプロ野球に飽き足らなくなれば米国の大リーグを目指せばよい。野球をやってる国が少ないので選択肢は限られている。五輪はなくなってしまったから、あとはワールドベースボールクラシックくらいか。兎にも角にも、野球で「世界を目指す」となれば、必然的に"米国々内リーグ"であるメジャー・リーグを目指す事になる。ここらへんが、五輪や世界選手権の舞台が用意されている他の競技と異なる点だ。

商業音楽は、どちらかといえば野球に近い。というのも、"世界で売れる"為には必ず米国市場で成功しなければいけないからだ。フィンランドとドイツでだけ人気、とか日本とブラジルでは人気、とかはあるだろうし、"日本以外では大人気"はあるかもしれないが、"米国以外で話題沸騰"とかはなかなかない。世界的成功は、21世紀になった今でもなんだかんだでまずは米国で売れる事なのだ。

しかし、米国のビルボードチャートをみると二種類のヒット曲がある事に気付く。アメリカ以外のチャートでも売れている曲と、アメリカ以外では売れていない曲だ。前者が「インターナショナルな成功者」なら、後者はアメリカという固有の国(合衆国ですがね)でしかウケない「ドメスティックな成功者」である。その代表格がカントリー歌手の皆さんなのだ。

米国でのカントリーは日本でいえば演歌みたいなもので、いわば究極の内向き志向だ。しかしその顧客数が莫大な為、そこだけ相手してても十分億万長者になれる。"国内"でツアーやってりゃいいんだからある意味海外を転戦して世界的成功を納めた人たちよりラクである。

まぁそんな感じだから、幾ら昔成功した歌手だといっても日本語版Wikipediaに項目がなくったって不思議ではない。喩えるなら、フランスに北島三郎の項目を事細かに書き下せる人が居ると思うか?という話である。いや実際にはいらっしゃるかもしれないが、第一印象として「居なさそう…」という雰囲気だろう。米国のカントリー歌手の日本語項目がないのも、まさにそんな感じなのだ。

そもそも、日本のミュージシャンって大体内向き志向だ。サザンやミスチルの楽曲は国際的にも通用するかもしれないが、本人たちにその気がなさそうである。なので、やっぱり日本語で歌う。このグローバル時代、餃子も液晶テレビも海外で作って輸入するものになっているが、日本では"歌"が究極のガラパゴスとなっている。日本語で歌っている限り、世界的成功を目指してはないと断じられても断りきれないだろう。世界で売れるにはまず米国で売れねばならないし、米国で売れる為にはまず英語で歌われなければならない。そうやって逆算していけば、どうしたって日本語で歌を唄うというのは内向き志向と言われても仕方がない。

しかし、桜流しは日本語の歌である。これが内向きといえるのかどうか。HPに英訳詞を掲載した事、各国のiTunesStoreで購入できるようになっている点を考えると、国際的な展開も視野に入っているんじゃないかと勘ぐりたくなってはくる。しかし、海外でEVAQを上映する時に桜流しの英語バージョンが流れる、なんて事もないだろう。EVA自体が日本人向けに作られているのは疑いがないし、それ以上でしゃばる必要が主題歌にあるかと言われれば難しい。しかし、今回の体裁が、ヒカルにとっては"EVAだったから"というのは、あるかもしれない。まだまだわからないが、これをもって今のヒカルが内向きか外向きかを判断する事は出来なさそうだ、という事だけはいえるかもしれない。