無意識日記々

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作詞術の伝承

作詞にあたってどれだけの工夫がそこに施されているかをインタビューで話す事は余り無い。そういうディテールはいいから、出来た完成品を味わって欲しい、というプロフェッショナリズムがあるのだろうが、しかしお陰でこれから作詞をしてみよう、というような人に参考になるような話も出てこない。細かい説明はしないから自分で読み取りなさい、という態度も背中を見て学べ的な昔気質の職人ぽくてよいのだけれどね。
プロフェッショナリズム、と書いたのだけれど作詞という技術はいつまで職業として成立するのやら。元々歌というのは言葉を託して伝える有効な手段として機能してきたが、インターネットの出現によってその必要がなくなった。言い切る。今は言いたい事があればメールでもツイートでも直接書いて相手に送りつければいいだけである。何かの節に載せる必要はない。

音楽に載せる事でより遠くまでメッセージを送れるという"機能"自体は廃れた訳ではない。より区別していえば、不特定多数に伝える、という場合は歌は今でもかなり有利ではある。しかし、今の時代のスピード感とは別個のものだろう。思いついたらすぐ言う。作って録音して配給して、という何ヶ月単位のプロジェクトは、遅すぎるのである。

したがって、作詞という技術も、より作品性という面に注目が注がれることになる。故に、その技術に関してトップクラスの人間が何らかの助言を与えてくれれば有用である。作詞を書く、という方の人に対して、だが。職業としての作詞と趣味としての作詞では随分違いそうだが、ボカロ全盛期、というかこれから更に増えていく時代の中では"作詞家"も増えていくのが道理である。なので、今はまだ時期尚早だが、Hikaruに対して作詞術のインタビューを敢行しその文字起こしを書籍化してくれれば、かなりのニーズが掘り起こされるかもしれない。出来ればHikaru自身の手で指南書を執筆できればいちばんいいが、なかなか難しいだろうな。それが高じれば、例えば大学で講師として教壇に立つ日も来るかもしれない。なんて事まで考えるのは、流石に気が早過ぎるかな。