無意識日記々

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7枚分で普通になれた夜々

今日も1日インフレ三昧。いやもう素敵過ぎて何が何やら。そして明日夜以降暫く数日は毎日インフレか熊淡どっちを先に聴こうか悩む展開が待ち受けているのだろうな。何という贅沢。

しかし、インフレにしろFL15にしろ、結局は過去の産物である。Hikaruの"今"への関心に較べれば小さいものだ。この人に限っては、「昔の方がよかった」と思う事が殆どない。連日FL15とインフレの話に終始している最近の当欄だが、いちばん興味があるのは「この桜流しの次に何が生まれてくるだろう?」という点だ。あんな凄い曲を書いたばっかりの音楽家がこれから(近いか遠いかわからない)未来に帰ってくるかと思うとそれだけでそわする。最近はヒット曲とか流行歌とかいう概念が消え失せて世は新しい音楽になかなか辿り着けない状況に居るというのにUtada Hikaruの一点張りは最高に幸せである。エキサイティング以外の何ものでもない。だからこそ今の"待ち方"が重要になってくるし、熊淡やインフレやFL15を如何に活用していくか、というのが我々のテーマになってくる。

インフレを聴いていると、歴史の長さにやたら感慨深くなる。特に、観客たちの反応が「何年も夢見ていた場面が今ここに」ばかりだから、その感慨も一入なのだ。何しろ、First Love、Distance、DEEP RIVER、EXODUS、ULTRA BLUEHEART STATION、This Is The Oneと実に7枚のアルバムからの選曲なのだ。これはWILD LIFEの6枚を上回って、過去最多のセレクションになる。しかも、Simple And CleanとSanctuaryというある種"イレギュラー"な楽曲も歌った(結局TiTOのボーナストラックに落ち着いたんだけど)。WILD LIFEは文句なく「宇多田ヒカルの12年の集大成」だったが、In The Fleshは「宇多田光(Utada Hikaru)の11年の集大成」とでもいうべき内容なのである。こんなライブが素敵でない筈がない。偏りのないHikaru、満遍の無いHikaruである。縛りも、制限もない。2010年時点で触れなかったのは「Precious」一枚だけ、
というのだから。

その偏りの無さが、Hikaruにリラックスを与えている。日本語で喋ってもいいし英語で話してもいい。日本語の歌も歌うし、英語でシャウトしてもいい。デビュー当時からバイリンガルとして持て囃されてきたが、ここに来て初めて音楽上でその「バイリンガルっぷり」が遺憾なく発揮されたのだ。「NYじゃこれが普通だよね」というMCはそのまま「Utada Hikaruはこれが普通だよね」に読み換えられる。何とも、清々しい作品なのである。