"通常盤仕様1形態"という事で迷わずヒカルの新作のCDを買う人は確実に増える。しかし、ライバルの存在を忘れてはいけない。いや、他のアーティストの話ではない。フィジカルを買うかどうかを迷わせる存在があるのだ。ハイレゾ音源配信である。
"未だに"CDを買う理由についていちばんみられるのはフィジカルへの愛着だ。ちゃんと手に取れるモノを手に入れたい、と。この理由であれば"通常盤仕様1形態"を購入するのに何の躊躇いも要らない。悩むのは何枚買うべきか位か。いや、ヒカルは1人1枚にして欲しいと思っているだろうけれど。
もうひとつ、配信でなくCDを購入する理由がある。いや、あったというべきか。それが音質だ。ビットレートはCDが1400kbps程度、配信が250kbps程度、6倍程の開きがある。やはり、同じ購入するのであれば音質のいい方で、とCDを選択する人はそれなりに居る。いや、居たというべきか。ハイレゾ配信が始まる迄は。
ハイレゾの音質は、配信の6倍の音質のCDの更に6倍、とかいうレベルである(実際はどれもまちまちなのでこれらの数字は目安に過ぎないが)。こうなれば、音質を理由にCDを買っていた層も配信に切り替えてハイレゾを購入する事に、なるだろう。
そもそも、"通常盤仕様1形態"でも買うような人種は、歌そのものに興味がある訳だ。握手や選挙に興味がある訳ではない。スピーカーから音楽が流れてくるのを期待してCDを買う。であれば、音質を重視する割合はずっと高い。"通常盤仕様1形態"CDの売上を落とす要因があるとすれば、それはハイレゾ音源である。
特に、今回の『真夏の通り雨』『花束を君に』に関しては、既にハイレゾ配信が為されている。配信販売方法やアルバム収録曲数によっては、他の収録曲を単品で購入して済ます人も在るかもしれない。ハイレゾチャートでもヒカルのコンテンツは上位に来る(というか1位を獲る)。その数だけ、CDからハイレゾにシフトした層が在るという事だ。
ここのジレンマがいちばん難しい。音楽で、歌で勝負と思っているからこその"通常盤仕様1形態"。その理由で、CDから離れる人が居る。勿論よい事だ。よりより音を求めるのは、音楽ファンにとっては本能のようなものだから。
では、どうすればよいのか、という話からまた次回、かな。いや、どうもしなくてよい、というのが結局の所の結論だったりするんですが、幾らか暫しのお付き合いを、宜しくです。