待ってました! 「CDTV LIVE LIVE」での『Flavor of Life - Ballad Version -』のパフォーマンスが満を持してYouTubeにアップロードされました!
何度観ても聴いても素晴らしいねぇ、、、うっとりするぜ。
近年、ヒカルさんによる「若い頃歌ったバラードのアップデート」が相次いでいる。『SCIENCE FICTION TOUR 2024』での『誰かの願いが叶うころ(live)』、2025年の『THE F1RST TAKE』での『First Love』、そして今年このCDTVでの『Flavor of Life - Ballad Version -』だ。
確かに、「若い頃のような声は出なくなったから歌い方を変えた」という指摘の何割かは正しい。長年活動するシンガーが大昔の歌を歌う時にはよくある話だ。ヒカルさんも一応その例に漏れないは漏れないのだが、恐ろしいのはいずれもオリジナルよりパフォーマンスのクォリティが上がっている事なのだ。
正直に申しまして、1999年の時点で『First Love』のオリジナル・スタジオ・バージョンを聴いた際には「日本語でこの曲をこれ以上上手く歌う事は無理だろう」と本気で思ってた。それくらいに当時15歳のテクニックとアプローチは完璧で100点満点だった。実際に私が痛感したのはカバーである「Close To You」を聴いた時だったのだが(「どこかにアラがあるはずだ」と粗探しをしてみたものの歌唱のどこにも欠点がなかった)それは兎も角、いつも言ってる通り、宇多田ヒカルは日本語のソウル/R&B系の歌唱もできるシンガーとして最高峰だけでなく、このアプローチのヴォーカル・プロデューサーとして紛れもなく最高峰なので、例えば仮に私が全盛期のマイケル・ジャクソン並みの歌唱技術を持っていたとしても全く太刀打ちが出来ない。ヒカルがそのマイケルを絶賛する時に強調していた通り、「どこをどう歌えばメロディが、歌詞が輝くか」を見出せなければ、幾ら歌唱技術が高かろうと名パフォーマンスは生まれ得ないのだ。
そう、真にヒカルが恐ろしいのは「こんな風に歌ったら今までよりもっと『Flavor of Life』の魅力を大きく引き出す事ができる」というやり方を“発見”及び“発想”した点にある。体躯がどうの筋力や運動神経がどうのといった技術的な美点はいつか誰かが上回ってくれるかもしれない。実際声域や声量でヒカルを上回る歌手は幾らでもいる。しかし、こうやって、同じ曲であっても、十数年〜数十年過去の曲であってもその時点で真新しい“歌の道筋”を新発見して即座に歌唱として体現できる才能は、いまもって唯一無二であり、そして恐らく今後も現れそうにない。少なくとも私が生きてる間には。…滅多な事言うもんじゃないってわかってるけどね! 藤井聡太とか大谷翔平みたいな才能が出てくるのがこの浮世で現世なんだけどさ!それでもそう言いたくなるんだよヒカルの歌を聴いてると!
つまり、ヒカルが実際に歌うまでは、この曲がこんなにより強く輝くだなんて思いもよらなかったのだ私は。それは一昨年の『誰かの願いが叶うころ』しかり昨年の『First Love』しかり。しかし、こうやってひとたび聴いてしまったら。こうやって“新しい正解”を知ってしまったら、もう過去には戻れない。スタジオ・バージョンを聴いて「これ以上うまく歌うなんて無理だろう」と思っていた頃には最早戻れないんだ。これ、色褪せるのとは少し違っていて、「ほんのすぐ隣にもっといい歌の道筋があるのよ」っていう妙にもどかしい気分で昔のバージョンを聴くハメになるというか。そう、ヒカルがパフォーマンスをアップデートすることでようやく、昔のパフォーマンスが「若気の至り」に思えてくるのだ! あんなに大人っぽいと思ってた歌唱がなるほど15歳のこどもの歌だったんだなとわからせてくれる。ヒカルが大人になってくれたことでやっと! ダブル成人式とっくに迎えてるけども! 天才少女宇多田ヒカルを「ただのこども」にしてくれたのは、大人になったら宇多田ヒカルでありましたとさ! それも本人からしたらちょっぴり寂しい事なのかもしれないけれど、こっちは万々歳ですよっ!?
そうねぇ、歌唱のどこがどう変わったかを具体的に事細かに書こうかなと思ったがいやそれは無理! 『ダイアモンド』の一言だけでも全然違う。『ダ』の子音と母音の組み合わせ方、『イア』の二つの母音の遷移のさせ方、オリジナルでの『モ』の子音にかかる小節(こぶし)の回し方と声の返し方の組み合わせが今回どう変わったか、そこから『ンド』に至る呼吸方法の変化と語尾の音量とビブラートの細かな微調整…とかっていうのを何百字にも渡る歌詞1文字々々々について書き下せと!? ムリムリ! ってかそんなん実際に聴き比べたらそれでわかる事なので、皆さんもそれぞれのバージョンを聴き比べて「なんか結構変わったんだな」と感じ入ってみてください。今回アップデートされたのは、何より我々の「感動の在り方」なのですからね!