無意識日記々

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なにではかるか

音楽CDの売上低下については様々な憶測が囁かれ続けてきた。ピーク時の98年から比較すれば惨憺たるものだが、80年代にTBSのザ☆ベストテンなんかで育った世代としては、ジャニーズやAKB48が主力となっているここ数年と、やはり(世代的には松田聖子以降しか知らんのだが)アイドル歌謡全盛だったあの頃を較べると"元に戻った"という程度の捉え方も出来る。88年にCDシングルが本格販売を開始してから約10年間"CDバブル"が続いたのかな、という認識だ。

その最後の隆盛に"とどめをさした"のがFirst Loveだったのだが、例えばサザンのTsunamiが"長い長いキャリアのクライマックス"として売れたのに対しヒカルの場合デビュー作だったのだ。その後の売上の右肩さがりっぷりは御存知の通りだが、こういう時代背景のお陰でその評価は各段に難しくなっている。

80年代にアイドルが強かったのは今と基本的には同じで、TVを最大限活用出来た為プロモーション上有利だったのだ。CDの導入でプロモの流通性が格段にあがった。アナログレコードは扱いが難しいし、カセットテープは不便だった(ウォークマンは大ヒットしましたが)。CDは気軽に扱える点が何より大きかったのだ。

そうするとiPodの登場なんかは格段に音楽を消費させるようになったのではないかと思いそうだが、そうでもなかった。その代わり日本では着うたがあたり、ヒカルもその恩恵を受けFlavor Of Lifeは"中興の祖"となった。

今も昔もアイドルファンは熱心なので(なにしろ、偶像崇拝だ)、不便だろうが扱いが難しかろうがモノを買ってくれるのだが、ライト層はこれでもかと手軽な切り取り方をしてきた。便利になればなるほど、美味しいところを手軽に、という"本性"が明らかになっていった。

結果、"CDを買う"という行動自体が生活習慣から抜け落ちていったのだが、こうして原因と思われるものを並べていっても、結局の所よくわからない。確かに、分析が難しい。複合的な要因、といってしまってよいものか。

ヒカルの売上は、戻ってきたときどうなっているか、想像もつかない。伝説の復活と捉えられるか、はたまた忘れ去られているか。そのときに、CDの枚数のような評価軸がそもそもあるのか。今考えても仕方がないけれど、どちらにせよ一昔前の捉え方ではいつも現状認識を見誤る、全く困った時代になったものである。