無意識日記々

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そういうの

さて、2つのAメロにおいてキーセンテンスとなるのは『毎朝弱気めな素顔映す鏡 退治したいよ』なのではないかという話だった。ここから、2つのAメロのひとつひとつの構成要素が"どういう順番で"出来上がってきたかを推理する訳である。

『退治したいよ』がまず真っ先に置かれたとすると次は当然『大事と思うけど』が来たのだろうと考えられる。須く思いつく音韻だからだ。それに、もし『大事と思う』なら寧ろこちらがキーセンテンスになる所だが実際は『思うけど』な訳だからここ(1回目のAメロ)で歌っていることは主張としては若干弱めだろう。更に、より日本語として自然に『大事だと思う』ではなく、『大事と思う』としてある点から、ここのパート自体音韻上の要請に縛られている、即ち(創作進行上)先行する歌詞がある事を示唆している。この場合は、『退治したいよ』が先にあって、それに合わせるように『大事と思うけど』が設えられたと見るのが自然だ。

となると、「それも大事な事だとは思うんだけどもっとこっちの方が」と言うときの"それ"の方が何なのかを歌詞で語らなければならない。歌詞に出てくる単語でいえば、『そういうの』である。

ここは、歌詞の解釈の話になる。『そういうの』って、どういうの? Do you know ? という訳でそこの所を読み解いてみる。

『十時のお笑い番組
 仕事の疲れ癒やしても
 一人が少しイヤになるよ』

『そういうの』に先行する歌詞はこの部分だ。代名詞なんだから直前に先行する文章のいずれかを指している筈である。十時のお笑い番組が大事と思うのか? 仕事の疲れを癒すのが大事なのか? それとも一人が少しイヤになるのが大事なのか? どうとでも読み取れるが、『思う"けど"』であるのだから順序を逆にして「そういうのも大事と思うけど 一人が少しイヤになるよ」と読むのがいちばん自然だろう。となると、『そういうの』とは「一人で居ること」と解釈するのがしっくりくるのではないか。つまり、「ひとりで居る時間(例えば十時のお笑い番組を見て疲れを癒す時間)も大事だとは思うけれど、時々それもイヤになる」という文章だと読むのである。

こうなってくれば、この一回目のAメロに於いてどの文が重要度が低いか、即ち後から嵌められていったかが見えてくる。次回はそこらへんの話から。