無意識日記々

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ジプシー

ミュージシャンといえば"ツアー"がつきものである。中には、ラスベガスなんかで同じ場所でずっと何十回何百回とLIVEをし続ける例もあるにはあるが、基本演奏会というのは旅をしながら催されていくものだ。

この点が、他の職業とは大きく異なる。古来からの人間の職業といえば、狩猟採取民、遊牧民、農民といった風に分けられるが、歌手をそのノリで類別するなら旅芸人、ジプシーの末裔という事になるか。"ジプシー"という単語は今は放送禁止用語になっていて人によっては耳慣れないかもしれない。まぁここでは旅芸人のイメージで使わせてもらう。

語源を調べてみたら、元は「エジプトから来た人」という意味の"エジプシャン"から変化して出来た言葉なんだそうな。そんな事言われたらUtaDAファンはどうしてもEXODUSを思い出してしまうな。出エジプト記。エジプトから脱出してきた人をジプシーと呼ぶのであれば、もしかしたらそんな含意も…ないな、ない。

そもそも何故エンターテイナーが旅をする側になったか、という事だがそりゃ勿論、使う道具が持ち運べる、或いは行き先で調達できるからだ。お客さんに来てもらうには家の近くまで出向いた方が有利なのは事実。極端に考えれば、例えばディズニーランドが移動可能な遊園地で、来週末近所までやってくるんだなんてことになったら皆行くだろう。どこにそんな土地があるかは知らないが。

ヒカルの場合、ツアーで出掛けていったケースと、一カ所で待ち受けていたケースと両方ある。ヒカルの5やWILD LIFEは日本中、いや世界中からのファンを招いた。一方、ボヘサマやウタユナはみんなの近くまで出向いていった。招くだなんて余程人気がないと出来ない芸当なのだが、そこは天下の宇多田ヒカル、毎度抽選になっている。

エンターテイナーの本質自体には、そのジプシーとしての、旅芸人としての側面は直接関係がない。が、歌手は何だかんだで旅芸人にならざるを得ない事が多いので、その"ツアー生活"自体がその人の人生観、人間性に大きな影響を及ぼす事になる。

更に、バンドやシンガーソングライターともなれば、一方で創作に没頭し一ヶ所に留まる生活を続けたかと思えば今度はツアーで世界中を飛び回る、なんていう生活に突入する。その落差たるや。

なので、実は"二足草鞋症候群"自体は、ミュージシャンにとっては珍しい訳ではなく、寧ろ宿命、宿あ(変換がなかった…)ともいうべき症状なのである。それが光の場合…という話の続きはまた次回にて。