無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

作り手だから余計凄みが解るのか

小津の「東京物語」が英の「Sound & Sight」誌上において"映画監督358人が選ぶオールタイムベスト"のNo.1に選ばれたそうな。内容からすれば当然の結果なのだが、こうして実際に英語圏でも評価が確立されていくのは難しい事だし、何より嬉しい。そして恐らく、多少の揺らぎはあるだろうがこの映画は21世紀においてもますます評価を高めていくに違いない。私からみれば、まだまだ過小評価である。

勿体無いなと思うのは、恐らくこの作品を選出した監督たちの殆どが日本語を解せず、自国語の翻訳でみているだろう事だ。あの映画における日本語の使い方の巧みさと美しさは、普段日本語で苦労していないとなかなかわからないだろう。「なるほど、そこでその言い回しをもってくれば物語はこちらに進むかっ」という驚きが劇中何度も出てくる。その有機的な機能美には感動を覚えるのだが、流石にそんな文化的背景まで翻訳に盛り込むのは難しいのではないか。ああそうか、小津映画を敢えて英語字幕・吹き替えで見てみるという選択肢もあるな。考えておこう。

ヒカルの作詞も同じ運命を辿るかと思うとちょっぴり切ない。なるほど、英語で「宇多田ヒカルの日本語詞はここが凄い」という文を綴るのも意義のある事かもしれないね。しかしその前に日本語でヒカルの日本語詞の素晴らしさを表現できらければ話にならないな。まずはそちらをしっかりやっていく事にしよう。


光は、仙台には来週行かないそうな。ほっとしたような、ガッカリしたような。昨夜の東北推しツイートはえらい勢いだったが、"復興"の2文字は前面に出していない。頭には当然あるだろうが、もう同情を引いてる場合でもない、という事だろうか。ニュースが原発や軍備などイデオロギー的な話に終始している中、東北復興の話題は後回しになりがちだが、光はブレずにしっかりと見据えている。暗黙の了解とはいえ心強く、頼もしいものだな。