無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

特別な一瞬

LIVEを見ていつも痛感するのは、LIVEの印象を決定付けるのは2時間の演奏時間ならその2時間を隙無く高質な演奏で埋める事、ではなく、後々記憶に残るような強烈な一瞬を作り出せるかどうかだ、という事だ。

先日のMoon Safariもそうだった。確かに彼らのコーラスと演奏は共にハイレベルだったが、全くミスがなかった、という訳でもなかった。結構どっちらけている所もあった。リズムチェンジを繰り返しながらハーモニーをつけてるだけでも凄いんだけどね。しかし、彼らはもっていった。アンコールの最後、マイク一本だけを立ててその前で6人全員がアカペラ曲を披露したのである。その間、2分足らず。ショウ全体は80分近くあったから全体の長さから見れば3%に満たない割合の時間だったのだが、これを完璧に歌いきった事でショウ全体の印象を決定付けたのである。お陰で、細かく考えればミスも思い出されるのだが「Moon Safariどうだった?」と訊かれればいちばんに出てくる感想が「素晴らしかった。特にコーラスハーモニーが完璧だった。」と言うしかなくなるのである。鮮烈な印象とは2時間を埋め尽くす事ではなく、その中で如何に特別な瞬間を作り出せるかにかかっている。

そんな具合だから、いつも思うのだ。2時間総てで演奏しなくても、たった一曲のほんの一部分だけの為に人を雇ってもいいんじゃないかと。確かにコストはかかるし効率もよくないかもしれないが、その「最後の一押し」の力は計り知れない。特にインターネット黎明期の今は「総口コミ時代」である。如何によい評判を作り出すかに腐心すべきだ。

なので、たとえ使う場面が少なくても女声コーラス隊を起用すべきなんじゃないか…というのが毎度の私の見解だ。たった一曲の為に、例えばGoodbye Happiness一曲の為にSynergy Chorusを呼んだっていいと思う。あれだけ歌えるんだから自分の歌で録音すりゃいいのにわざわざ異国の地で彼女達に歌唱指導までしてスタジオテイクは完成したのだ。ならばLIVEでも彼女たちを呼ぶのがベストだ。スケジュールの管理やモチベーション、ギャランティと問題は山積だろうが、もしそれで"特別な瞬間"が齎されるならチケット代を値上げしてでもその一瞬に賭けるべきである…いやまぁ現実的な判断を次々迫られるのが公演の座長の立場だろうからそんなに強くは言えないけれど、ヒカルはどうしても「隅々まで完璧に」という意識が強く、それが今までのキャリアを築き上げる大きな原動力になっているから余計難しいかもしれないが、ことLIVEに関しては少々の粗や綻びが出るとしても「強い印象」の為の演出を心掛けるのがいいんじゃなかろうかと思う次
第でありましたとさ。まる。