無意識日記々

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i_、無益なラジオ愛を熱く語る。

昨日、既存のAM局がFMへの移行を検討しているというニュースを読んだ。それだけの話なら印象はよくないもののわからなくはない。私も関東に出てくるまで知らなかったのだが、関東平野はひたすらだだっ広いのでAMの利点、いやそれは違うな、中波放送の利点である「障害物を回り込む」特性のメリットが殆どない。寧ろ、帯域的に電化製品などの"邪魔"を受けやすい等のデメリットが目立つ。

田舎育ちには、それはカルチャーショックだった。移動といえば山を超えるのが当たり前の田舎では、車でFM(というか超短波)を聴いていてもなかなか安定しない。その点AMは心強かった。家や出先でも同様だった。その為、「AMは音は悪いが安定して入る」「FMは音はよいが場所を選ぶ」という感じだった。一長一短があったのだ。関東平野にはそれがない。出力さえ届けばFMの方がいい。受信機と路線にもよるが、電車移動でもFMの方が入りやすい。少し寂しい気持ちはあるが、首都圏主導ならFM移行も仕方ない、とは思う。

しかし、私が呆れたのはそこではなかった。なんといまだに「デジタルラジオへの移行」を画策しているというのだ。アホか。変換ミスではない事を示す為に(予測変換のお陰で"音"を"男"とミスタイプした回数数知れず…)、もう一度言おう。アホか。

ラジオの最大の武器は今や"アナログである事"である。全てがデジタルに移行していく中でラジオだけはアナログを死守するのが宿命というものだ。前にも書いた気がするが、デジタルの弱点は受信環境が悪化すると突然"一切受信できなくなる"事だ。皆さんもワンセグなどで経験がおありだろう。なんやねんあれは。

例えば災害時のニュースなどは、"最低限何を言っているかわかる"だけの音質があればいい。雑音混じりだから何だと言うのだ。人間は"耳をそばだてる"という事が出来るのである。受信状態が悪くてもニュースは聞き取れる。これが、ラジオの、特にAMの強みである。振幅変調というのは音の波形をそのまま電波の波形(包絡線)にしたものだ。故に大体の電波が伝われば大体の音は伝わる。これがFMになると周波数変調の為数学的にはノイズは離散的…ええっと"唐突な感じ"に変換されてしまう。AMの雑音よりFMの雑音の方が不快に感じるのはこの為だ。

兎に角、ラジオはアナログを死守せねばならない。災害時の情報源として重視するなら尚更である。あと、田舎の事も考えて欲しい。なにより、今どき中波帯空けて何に使うねん…。

追伸:
ヒカルの曲をAMで聴くのはまた格別である。ぼくはくまの初聴は、確かAMのNHK第2ではなかったか。暖かみのある素朴な音が、童謡の世界観にしっぽりとハマった。AutomaticやPrisoner Of Loveは、雑音の波を乗り越えてそのメロディーの強さと声の存在感を見せつけてくれた。音質が悪くなればなるほど、音楽はメロディーと声の強さそのもので勝負しなくてはいけない。その初心を思い出させてくれるAMラジオは貴重なものだ。音と電波(光の仲間!)をそのまま変換しあうというシンプルさにも惹かれる。AM放送を、中波放送を無くしてはならない。もし誰も使わなくなるんであれば、宇多田ヒカルの曲だけをかけ続ける専門局を開局しよう。そうしよう。うん。