無意識日記々

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オワラセコン

これだけEVAQの話をしているのに私がEVAQ円盤を観る目に力が入らないのは、余りに後続たちが分厚いからである。つまり、ポストエヴァ、ポストポストエヴァの世代のアニメーション作品たちだ。

これらの充実ぶりは本当に目を見張る。どれから挙げていけばいいかわからない位だが、ここは私にしてはとても珍しく貶す方から始めてみよう。


先日、劇場版「シュタインズ・ゲート」を観に劇場に行った時の事。まぁ映画の出来自体には概ね満足だったのだが話はそこではない。劇場に足を運んだ時に楽しみなのが他の映画の予告編である。テレビやYoutubeで見る予告編とは違い実際に上映される銀幕と大音響で流されるそれは、もろに映画としての適性が出る。一言でいえばオーラのコントラストが極端になるのだ。

アニメ映画の前の予告編だったからか、アニメ映画ばかりだったのだが、その中でも一際目を引いたのが、例の攻殻機動隊の新作だった。

びっくりする程オーラがなかった。なかったのだ。繰り返す。なかったのだ。他の映画が面白いかどうかは確信がもてなかったが、これがつまらないだろう事は自信を持って言える。アレはハズレだ。

攻殻といえばその影響力は凄まじく、日本のみならず海外でもかなりの人気を誇るときく。どんなもんかは知らんけど。レジェンドに数えられる作品のひとつと言っていいだろう。何より、我らが宇多田ヒカル氏が大のお気に入りで草薙素子のイラストをメッセでUPした(しかも連続で)事で有名だ。

つまり、何が言いたいかというと、その甲殻ですらちょっと気を抜いただけでオワコン化し埋没してしまう位、周りのレベルが上がっているのだ。はっきり、異常と言っていい。経済規模は二桁三桁違うだろうに、トップのレベルはハリウッドにもひけをとらないだろう。単にお金を落としてくれる層がかなりニッチだからという理由で、コンテンツの方向性自体がやや偏った層狙いになってしまっているのが弱点だが。そこらへんはピクサーと違うよね。

で、そういったマニア向けの世界から大きく足を踏み出したのが新劇版EVAだった。何より驚愕なのが、ニッチ向けマニア向け(本来なら夕方6時台なんだから子供向けの筈なんだけどねぇ…)に作られた前世紀版を殆ど踏襲しているのに内容を娯楽作品に仕立て上げ興行規模を50億円にまで押し上げた事だ。流石王者の貫禄である。

それをEVAはQで捨ててしまった。故に作品は丸裸であり、他の猛追と比較される運命にある。しかし、それを"捨てる事ができるようになった"境地に達したのは今の所EVAしか居ない。そして、やるなら今しかなかった訳だ。娯楽性の高い序破から難解かつ優柔不断なQへの流れ。この破壊力。かあさんどうしてそだてたものまでじぶんでこわさなきゃならないひがくるの。そこを経て完結編なのだ。そして、ここで丸裸になり他と比較出来る所に"敢えて堕とされた"お陰で、シン・エヴァは改めてこの作品の凄みを皆に実感として提示する事になるだろう。つまり、この物語が一応の完結をみた挙げ句にもう一度EVAQを観た時こそがシンに、いや真にEVAQの面白さを味わえる時なのである。今、私が観るのに気合いが入らないのも無理はないのだ。ザ☆自己正当化。