無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

海賊のブーツの話

あー、In The Flesh 2010 全公演収録全20枚組CDセット出ねーかなー。DVD10枚組でもいいぞ。いや全部の公演にカメラ入ってたかどうか知らないけどさ…

勿論そんな商品で採算がとれる訳もないから、現実にはMP3ダウンロードが限度だろうね。それだってミュージシャン側が納得のいくサウンドにする為にはちゃんとしたミキシングとマスタリングが必要で、どうしたってそれだけの費用はかかるんだよなぁ。いっその事、"オフィシャル・ブートレッグ"と銘打ってろくにサウンド調整していないバージョンでもよしとしようじゃないか…

…と、古今東西問わず、様々なミュージシャンのファンたちがこういう思考を繰り広げてきた。そこから生まれてきたのが、ライブ・コンサートの音声をそのまま録音した(サウンドボード録音もあるけどね)"海賊盤CD"である。一口に海賊盤といっても、既存の音源をコピーして安く売るオーソドックスなものから、このように、「アーティストのオフィシャル音源は全部買ったがそれでも物足りない」という人を対象にしたライブ実況録音盤まで様々である。前者はアーティストのオフィシャルリリースを妨げる可能性があるが、後者はほぼ全くその可能性がない。だって大抵正規盤より高いからね…。いずれも著作権法には触れるので訴えられれば負けるが、後者はいわば"必要悪"というか、「違法だが実害はない」コンテンツとして認識されてきた。いやはや、お世話になった人も多い事だろう。

しかし今の時代、今後この状況はどう変化していくかわからない。正規盤であるCDが配信にとってかわられ、その配信も結局の所限界費用が非常に低い為、「最早フィジカルや音源では稼げない。ライブやグッズで収益をあげよう」という空気が一部に出来ている。まぁそれは皆さんも御存知だろう。

で、だ。そもそもライブ・コンサートのチケットとは何なのか。あれは何を売っているのか、と考えてみると、つまりあれは「ある特定の時間、特定の場所に入場していい権利」を売っている訳だ。チケットとはフィジカルでなく、そういった許可というか、抽象的な権利なのである。

そうしてみると、音源のダウンロード販売も似たようなものだとわかってくる。インターネットのインフラの整備が進み、必ずしもデータをローカルに持つ必要もなくなってきた昨今では、配信とは殆ど「ある特定の楽曲を聴く権利」に近い。寧ろ、それがローカルにダウンロードされた後にコピー可能である点をどうすればいいかというのが悩みのタネになる位なのだから。我々は今や、コンサートのみならず音楽自体も「権利」を買うようになってきたと言っていいかもしれない。


となると、である。コンサートの実況録音を収録した「ライブ盤」という存在は、現況ではどのような位置付けになるのだろうか。…長くなってきたので、ここから先の話はまた次回。もしかしたら来年だったりして。さてどうなりますことやらですわ〜。