無意識日記々

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TVの話になると長くなるなーもー

「ネットがあるから(スマホを見てるから)テレビや新聞を見なくなった。」という台詞を最近よく聞く訳だが前も指摘した通り、ネットを介して接する事の出来る情報の大半は新聞社や通信社、出版社やラジオ・テレビ局が元ネタである。ただ端末が変わっただけで、実際の情報源は変わらない。

勿論複数の情報源を参照出来るようになったのは強力である。同じ事柄に対して各新聞社がどう報道しているかを比較出来るようになっただけで随分な進歩だ。

しかし、今言いたいのは、「情報を作る為の資金をどう調達するか」という点についてである。これについては、インターネットが普及した現在も殆ど変わらない。

出版社は出版物から、新聞は購読料から、テレビはNHKやCSが受信料から、民放が広告収入からそれぞれ次の機会に投資し、取材をして新しい情報を創造して発信する。テレビやラジオや新聞雑誌出版物を介さないで、或いはそういった所からの資金に頼ることなく創られた情報に接する事は非常に少ない。

なかでも、テレビの影響力は物凄いものがある。広告宣伝費ってそんなに巨額なのかと毎回驚くものだ。

例えばアニメの話をしてみよう。ニコニコ生放送で新しいアニメについての特番をたまたま見て気に入り毎週ニコニコ動画で視聴し、終わったらレコード会社から発売されたブルーレイを購入し漫画原作を出版社から購入しライブハウスにイベントに出掛けチケット会社でコンサートチケットを買ってホールにライブを見に行って…みたいなサイクルで生きているアニメファンは結構多い(といっても数万人規模だろうが)。この間、ニコニコ動画やレコード会社や出版社やライブハウスやチケット会社や興業会社やコンサートホール事業者とのやりとりはあってもテレビ局との接点は一切無い。

しかし、今の現実として、幾らニコニコ生放送で全世界最速で視聴できようとも、テレビの放映枠無しで1クールのアニメが作られる事はほぼあり得ない。上記のようにテレビを一切介さずにどんどんと各関連会社にお金を落としてくれる得意顧客が居たとしても、たとえ深夜でもテレビで放送しないと全く宣伝にならない為、テレビ局が噛んでないと資金を集める事が出来ない。

現実、深夜アニメの円盤が売れるのは殆どがテレビ放送のあった地区だ。「放送当時は地元の放送局が放送してくれていなかったから見ていなかったが、完結したあと名作だったとネットの評判が高いから今度ブルーレイも出ることだし買ってみようか。」なんてパターンは極々少数で、殆どが「テレビで見てよかったから円盤も買おう」という人ばかりである。今や配信でもかなりの高画質で視聴できる為(たとうばdアニメストアのHD画質は完全にDVDより高画質で、PCで視聴する分には殆ど問題がない。月額432円とは思えないよ…)、テレビで見る必要性をあまり感じない層も居るし、実際上の例のようなサイクルで完結できるのだが、収益全体を見渡すと深夜アニメですら地上波テレビ局の宣伝力・資金力にはかなわないのだ。

なんだか筆が滑りすぎたな。まぁいいか。

しかし、音楽業界は、全くテレビ局の力を借りる事なく成り立てるモデルケースが幾つもある。例えば山下達郎なんかどうだろう。ラジオではお馴染みの人だが、テレビでは殆どお目にかかれない。彼はテレビ無しでも全く問題なくアルバムをリリースしツアーを敢行できる。勿論クリスマス・ソングの大ヒットはテレビの力だが、あれが全く無くても彼は今の地位を築いていただろう事に疑いを挟む人は少ないだろう。

彼が今の大御所の地位を築き上げられたのはそのハードなツアーの賜物だ。この度彼の今年から来年にかけてのツアーデイトが発表されたが、その歳でそこまで細かくまわるかというほど全国津々浦々、関東圏の人はその気になれば十数回、いやさ数十回観に行けるんじゃないかという密度である。彼にテレビ局の援護は確かに必要ないが、その為にはここまでしなきゃならんのかと。


で。前回も述べたように、ヒカルが大ヒットしたのはテレビの影響がとても大きい。200万枚まではラジオの力な気がするが、そこからは全然テレビに出てくれないヒカルについてこれでもかとテレビが取り上げていた。実際、テレビでプロモーションをしなかったFINAL DISTANCEは初登場1位を逃したし、テレビはCMのみだったtravelingの初動は吃驚するほど低かった。ヒカルはかなりテレビ依存のプロモーションできていた。


それこそ、次の復帰の時には一切テレビに出ないというのも選択肢だ。ラジオ一本で。しかし、資金はレコード会社が調達してくれている訳で、もともとヒカルは「お客さん」に過ぎないのだから、ギャラが貰えて宣伝も出来るテレビ出演を断る理由が無い。「出たくない」なら別だけど。ここらへんのバランスが難しい。

テレビに出るデメリットというものが明確にある訳ではないのなら出ればいい。ミュージシャンの中では、例えば吉田拓郎なんかは「初めてテレビ出演した時に怒鳴られて随分怖い思いをした」からそれ以降(ラブラブ愛してるまで、かな?)テレビ出演を殆どしなかったりしたが、ヒカルはそういう経験をした訳ではないのでそこまでネガティヴな印象をテレビに持っている訳ではない。しかし…

…幾らなんでも今日は長くなり過ぎたからこの辺で打ち切るか。続きを書くかどうかは不明。ネガティヴな内容になりそうなのでね…。