無意識日記々

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FoLのヒットってもう9年弱前なのか

今やCDを買う層というのは(演歌勢のように)ほぼ“アーティストを支援する目的”で購買を続けている。いわばファンのパトロン化が進んでいる。積極的な資金援助の形態である。クラウドファンドもその同系統の進化系だ。アニメファンが"買い支える"と形容してきた形態が徐々に定着しつつある。

これは別に目新しい事でもなく、ジャンルの成熟とともにファンの絶対数が漸減する一方高齢化し単価が上がった結果ともいえ、大きなホール公演からホテルのディナーショーなどにシフトするような古典的な推移である。それはそれでいいだろう。

問題なのは次の世代である。大体傾向は出てきている。若い世代は音楽フェスティバルをアミューズメント・パークの一種のように捉えていて、ソフトはそんなに買わなくてもフェスには行くよという感覚が増えている。若いバンドは何とかフェスティバル出場で食らいついて固定ファンを掴みたい所だ。

いずれにせよ、市場が成熟して購買は単価が高くなり、一方は無料化が進むという事態は流れとしてある。


問題なのは、お陰で、中庸が衰退している事だ。マンガ業界でいえば、数百円の単価の単行本を購入するような、買い支えるとかの気はないけど、ちょっと面白そうだから買ってみようかな、という層に対する商品が、今の商業音楽には存在しない。ここが痛い。そういったものを主に購入する“消極的支持者”への受け皿。しかも彼らは常に最大多数である。これに見限られているのが現状だ。


本来なら、配信販売がそこにハマるべきだったのだが、色々な所で受け渡しがうまくいかなかった。10年前の「着うたブーム」を引き継げなかったのである。代行決済という強力な武器をもって1曲で800万ユニットなんていう数字を叩き出した爆発力も今では夢だったんじゃないかと思えてくる。

何でうまく引き継げなかったかというと、携帯電話は次々と買い替えるものだったからだ。実際にはコンテンツが引き継げる場合でも話がややこしいと無意味である。携帯を買い換えたら着うたはなくなる。そしてスマートフォンへ。そりゃ無くなるわ。

逆に、スマートフォンになった所で販売習慣を根付かせる施策を打つべきだったのだが、市場を把握していないAppleのiTunesStoreがデファクトスタンダードになってしまってはどうしようもなかった。結局、消極的支持者を取り込む方法論にまで発展しなかったのだ。


そういうのが解決していたとしても、やっぱり現状の1曲250円ていう単価は高いよねぇ、これだと代行決済が可能になっても売れないんじゃないの、という話からまた次回。