無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

こんなことって、こんなことって。

人気の出方にはトップダウン型とボトムアップ型があって、ヒカルはトップダウン型である。

トップダウンとは、全国的な宣伝網と流通網をもつ組織が売り出すタイプだ。いきなり日本全国各地に彼・彼女(たち)の名前が響き渡る。全国ネットのテレビ、全国ネットのラジオ、全国で販売する新聞社、出版社、広告代理店。彼らがリスクをとって多大な宣伝費をかけながら売るのがトップダウンだ。

ボトムアップはそれとは対極で、例えば路上ライブから出発してインディーズのCDを手売りして、という感じ。それがいつのまにか地元のコミュニティーFMで取り上げられて、みたいな展開をしつつライブの規模が大きくなっていくパターン。もっとも、情報網の発達した現代では早い段階から食い付かれてすぐにトップダウン型に巻き込まれていってしまうのだけれど。なお、余談になるが、そういったボトムアップの手法を擬似的に模倣してトップダウンで売り出したのがモーニング娘。やら秋元康プロジェクトのやり方だった訳だ。いいとこどりだね。

で、ヒカルがトップダウン型だと言ったのは、いきなり日本の大手レコード会社の東芝EMIと契約して活動を始めたからだ。確かに、そこに至るまでの過程で、1000枚しかプレスしなかった(んだっけどうだっけ)Cubic Uの「Precious」を作るなどはインディーズ活動で、ここまではボトムアップといえるが、同盤は結局EMIとの契約に至る為のデモテープとしての役割を果たしたといえるから、結局はEMIが(人気の出ていないアーティストを)一本釣りしてリスクを取ったという事が出来る。EMIはこの一世一代の大勝負に出て見事賭けに勝ったのだ。


トップダウンの利点は、当たればデカい事だ。ヒカルが最上の例である。下積みから地道に、なんて必要ない。ヒカルが苦労していないという意味ではない。ある日突然風景が変わっている事に気付く。そのインパクトはトップダウンでないと味わえない。ボトムアップはまさに、毎日一人ずつ々々々々ファンを増やしていく行為なのだから。

欠点は、予想できるだろう、故に人気があぶくのままだという事だ。熱しやすく冷めやすい。人間のいちばん不安定な部分に訴えかけて売るのだから当然か。落ちる時はそりゃあすぐに落ちる。目も当てられない。一人ずつ々々々々増やしてきたならば、減る時も緩やかだ。なお、メンバーがスキャンダルを起こしたとかの決定打を放った場合はこの限りではない。

ヒカルの場合、ファンという言い方が難しいならば「音源購入者」とでも言おうか、彼らの数が数分の一、いや数十分の一に減っている。こんなことって、こんなことって。トップダウンだからこそ起こった事だ。

そうなると…あ。「いや、ヒカルちゃんは"Automatic"が北海道をはじめとした全国の各ローカルFM局でオンエアされた事で売れたのよ。トップダウンなんかじゃあないわ。」と反論される方も在るかもしれない 異論は無い。でもやっぱり、インディーズ・レーベルとメジャー・レーベルでは違うんだよね。


…って話が2つに分裂しちゃうなぁこれ。これらの続きはまた次回。或いはまたいつかのお楽しみという事で。