無意識日記々

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歌の話何もしやがらねぇ(笑)

昨夜の「NEWS ZERO」の出演は10分程度だったが、喋ったねぇ。音楽の話は殆どせず、社会性の高い話題に寄ったトークだった。子育てやら難民やら、音楽ライターだと遠慮して訊かない?ような事も遠慮なく。編集されている為実際はどんな対談だったか知る由もないが、知的な側面は遺憾なく発揮されていたと言えそうだ。

日本(と乱暴に一括りにしながら)は本当に子育てに不寛容で、それは多分、戦後子育てにはわき目もふらずに仕事に没頭した男たちが出世して作り上げたのが今の高度経済成長以降の社会だからで、そもそも社会制度に子育てが組み込まれていないからだ。今でも時々ツイートが流れてくるが、女性の社会参画を訴える会合のメンバーが男性だらけ、というようなネタがウケる事からも、女性からの視点の欠けた制度設計は共通認識であるように思われる。女性と子育てを強く結びつけて放置してきている。

そこらへんのところを「今泣いてる赤ちゃんは将来あんたの年金を払う人」とわかりやすく喝破したのは見事だった。社会の縮図を実にうまく纏めるなぁ。作詞家に求められる才能そのものだろう。コピーライターや俳人と小説家の間くらいのサイズのフレーズをすっと導き出してくる。

「日本で子育てした事がない」「友人から訊いた」とソースの信頼性を判定できるパートをしっかり差し挟んでいたのも好感触。いや寧ろカットしないでいてくれてありがとう、かな。ここらへん、ネットでの拡散にも耐えられ得る伝聞不確実性への配慮が感じられた。

でもやはり「最近の社会の不寛容」について振られた時に「昔は寛容だったかといえばそうは思わない」とハッキリ返してくれたのが、いやまぁ、目がパチクリさせられたですよ。これ、テレビに喧嘩売ってんだよね。「最近少年の凶悪犯罪が増えていて」とか、統計データを信じる限り全部嘘だからねぇ。「社会が不寛容になっている」という嘘かもしれない前提で報道番組を作った方が数字が取れるのだろう、それをあたかも認められた一般常識共通認識として迫ってくるのだが、キッパリとそれを拒絶してくれた。そゆのにハラハラしていたから、意志の強さに安堵した。いやまぁ、これも、そこをカットせずに流してくれたところが大きいんだけど。

何はともあれ、炎上する事もなく無事に放送が済んで何よりだ。無事是名馬は普段のヒカルには当てはまらないが、今回はそう言っていいかもしれない。