無意識日記々

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要するに何もわからないという話

移籍にあたって興味があるのは、梶さんにどれだけの権限が与えられるか、だ。EMI時代は(まだ移ってないけどな)レーベルA&Rのトップに君臨していた訳だが、そこからEPICへ移ってどのような立場になるか。

彼の出世がどうのというより、大胆なプロモーション・アイデアを果たして実行に移せるか否かという話。ラジオ局101局ネットとか随分な規模だった。必殺の『通常盤仕様1形態』が採用されたのも、彼が賛同し、実行に移してくれたからだろう。少し感覚が麻痺しているが、本来ならこの『通常盤仕様1形態』という、昨今の情勢からすれば常識外れなアイデアに対して真っ先に反対しなければならないのはプロモーション担当者、A&Rである。売れる筈のモノを売れないというのは企業としては有り得ない事態。それをアーティストの意向を汲み、社内の反対を押し切って実行に移せるだけの権限が彼にはあった訳だ。EPICで同じ事が出来るか、である。

沖田ディレクターの方は殆ど変化が無いとみる。担当するアーティストに変化が出るせいでの新しい影響、というものはあるかもしれないが、今までやれていた仕事がしにくくなるとか或いは新しくやれる事が増えるといった事は殆ど無いだろう。今までだってヒカルはレーベルの枠を超えて活動をし、沖田さんはそれをサポートしてきた訳だから、ぶっちゃけ彼は今すぐフリーの音楽ディレクターになってもいい位なんじゃないの。会社に居るからこそ出来る仕事、というのはそんなに思いつかない、かな。


そしていつもの心配をしなければなるまい。世界展開である。2つのレコード会社に跨っていた時は「行ったり来たり」だったが、EPIC所属で海外のレーベルからもリリースがあるとなるとどのようなバランスに落ち着くのか。もっと言えば、制作とプロモーションはこのご両人を筆頭とした「チーム・宇多田」のまま行くのかどうか、だ。

お二人の経歴に詳しい訳ではないが、外国人プロデューサーを交えた英語曲の制作や、日本以外でのプロモーション活動に携わった事はあるのだろうか? ここが未知数なのである。ついぞ名前も顔もわからなかったが、『This Is The One』ではIslandレーベルのA&Rがきっちり仕事をしてくれた。リズミック・チャートでのラジオ・オンエア、大量のインタビュー、全国ネットのテレビ出演など押さえるべき所を押さえた的確且つ堅実なプロモーションだった。結果も堅実だった。今度EPIC所属でそれをするなら誰がやるのか。日本主導なのか米国主導なのか、それとも英国主導?? 何しろヒカルの所属は「ソニー・ミュージック・レーベルズ」、関わる人たちは凡そ皆『バリバリ日本人じゃん』。無論同じSONY系列の海外のレーベルと改めて契約を結ぶ(恐らくは3月1日に同時に、だわな)のだろうから、そこではまた全く違う制作体制とプロモーション戦略がとられる事になるだろう。果たして、誰がそれをやるのか。

結局は作品の方向性次第な訳で、今何を思い悩んでも杞憂である。出来た作品を売る。それだけなのだから。しかし、わざわざ三大レコード会社におけるライバル(今世界は一応、ユニバーサル/ソニー/ワーナーの三つ巴(なんだようちの変換、"密度萌え"って(笑))という事に、なっている)会社に移籍したからには、当然そこの方法論も想定しているだろう。或いは、だからこそSONYに移った、と言わせれる条件が何かあったから移籍したのかもしれない。配信で瞬間風速とはいえ全米2位を記録したミュージシャンだ。今度こそ飼い殺しは許されない。ヒカルの望む通りに、可能な限りにストレスフリーな環境で活動出来る事を願ってやみませんですよ私は。