無意識日記々

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スッポン手に明日へ

とはいえ、「あなたが待ってる」が爆発的にヒットするような歌ではない、とわかって少々安堵するところもあったり。

というのも、今回のプロジェクトはTHE BACK HORNが「宇多田ヒカルの名前を借りて大々的に売り出そう」と始まった企画ではなく、「ちょっとバックコーラスに参加して貰えないかな」くらいだった話が思いの外膨らんでしまったものだからだ。売れ線を狙って売れなかったら無理によかったと言わずおおいに反省すべきだが、狙いがそこになかったのなら必ずしも悲嘆する事はない。てかそもそもTHE BACK HORNはポップス・グループではなくロック・バンドなのだからいちいち売上に一喜一憂する弱さを見せてたら逆にファンが離れる。体質の違いが理解できないと一気に話がタブロイド化するぜ。

もしかしたら、バックコーラスだけの参加だったらブックレットの端っこにちょこんと名前を載せてそれっきり、になっていたかもわからない。てか私ならそうする。曲の為に必要な声を呼んだだけなら宇多田ヒカルの看板すら不必要。流石に、共同プロデュースでMVにも出演となると告知しない訳にはいかなくなる。ただ、今みたいにややいつもより気合いの入った風なプロモーションまでする必要があっかというと、わからない。そこらへんの微妙な押し引きはビクターの中の人に訊いた方がいいかもしれない。

この、最初のノリを大事にしたい。計画的なコラボレーションではなく、やっていくうちに纏まっていった、関わっていったプロセスを。ヒカルくらいのビッグネームになるとそう易々とは自分の名前を使えないのだ。自然発生的に仲間と作った曲、というノリと、ともすれば「宇多田ヒカル×THE BACK HORN」くらいの感覚を打ち出したい売り手側。確かに、後者のノリでいくとあまりに地味で素直過ぎる楽曲だ。もうちょっと静かにリリースしてもよかったかもしれない、と曲を通して聴いた今なら思える。後出しだけど。

しかしこれで、キッカケとしてはヒカルが「他者のプロデュースをする」という経験が出来た事もまた大きい。我慢して(?)作曲に口を出さなかったとすれば、かなり"弁えた"態度だったともいえる。…って"我慢できない"性格だと思ってたのか自分(笑)。それが出来るなら、本来プロデュース能力は高いのだから今後またチャンスは巡ってくるだろう。まずは今は「あなたが待ってる」を十分楽しんで、それを踏まえて未来に期待したい。