無意識日記々

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おーみんなろくろまわしてるなー

『30代はほどほど。』のメイキングダイジェストとやらをGYAO!が配信してくれていたので観てみた。やれやれ。「失敗するプロジェクト」の見本のような雰囲気が流れてくる。こりゃあ、そうなるわな。

幸いに、と言うべきか何なのか、WEBで観てても『30代はほどほど。』を"叩いて"いる人間はほぼ自分以外にはみられない。ならば自分が押し黙ってしまえばもう一生"誰もイヤな思いはしない"んだなぁ、と思うとすぐに筆が鈍る。人生短いんだし。しかし、得られる教訓は得ておきたい、という本音が勝った。相変わらず書く。

先週「けものフレンズ」の第11話のニコニコ生放送でアクセス過多により接続不良が多発するという"事件"が起きた。一般会員のみならずプレミアム会員まで弾かれたというから相当であるが、これを受け公式は即謝罪、翌日に再放送を設定した。まぁなんというか、よくあるとまではいかないが、突発的に人気の出た作品に対して運営システムが追いつかなかったという1例だ。

宇多田ヒカルはちゃうやん。人気あるのわかってるやん。事前登録制にしたやん。なんで接続不調が起きるねんいう話。予測がつかないなら何故試験放送をしなかったのかと、ここでも再三指摘してきた。

「メイキングダイジェスト」をみて、合点がいった。納得はしとらんが。完全に「意識高い系」の空気になっとる。皆クリエイティブに対して凄く意識が高い。本当に皆頑張ったんだろう。努力したんだろう。寝る間も惜しんで働いたのだろう。こうやって皆が皆やる気を出して高い意識が現場を埋め尽くすと、誰も言えなくなるのだ、「このプロジェクトって根本的に間違ってない?」って。

つまり、『30代はほどほど。』が失敗したのは、スタッフの誰かが怠けていたとか手を抜いたとかではなく、真逆で、皆が真剣に取り組んだからこその必然的な結果なのだ。「努力すれば結果はついてくる」。その通り。見事に結実した。ダメなものをちゃんとダメなものとして仕上げたのだから。

誰かが勇気を出して言わなくてはいけなかったのだ。大した額ではないかもしれないが、VRメガネに関しては返金まで行った。普通の商習慣に照らせば"不祥事"と言っていい"被害"が出たのだ。結果論だがそうなる。

しかし、現実に、走り出してしまったプロジェクトを途中で中止させるのは極めて難しい。特に、現場がやる気で漲っていると尚更なのだ。どこか綻びがあればそこを突いて中止に追い込む計画を練る事も出来るかもしれない。しかし、こうも誰もが高い意識でいられると、それこそ、"とてもそんなこと言い出せる雰囲気じゃない"んですよ、えぇ。

そういうプロジェクトの最大級が"太平洋戦争"だというのはよくある比喩なのだが、70年前の話なんて知ったこっちゃないのでその比喩には関わらない。だが、もしそうだったとしても納得できるなぁ、と「メイキングダイジェスト」をみて思ってしまったよ。皆が真面目で働き者であればあるほど、あっという間に全体が落とし穴に向けて突っ込んでいく。「そっち行ったらまずいんじゃないの?」と言えるのは、プロジェクトが提案されて走り出すまでのほんのちょっとの間しかない。そのほんのちょっとを突けなかったのが今回の「敗因」だったのかな、とそう思った。そこで「そうだよねぇ」と言えてれば、何事もなかったのだ。歴史は繰り返す。最初の思い付きがダメかどうかを判断するのは大変難しいが、ここから教訓を学んでおかないと「失敗」した甲斐がない。学び取れる事は学び取っておこうぜ。