無意識日記々

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終始けもフレ第3話を誉めちぎる回

冬季は結構面白いアニメが多くてねぇ。「小林さんちのメイドラゴン」とか「がヴリールドロップアウト」(これは太田あおしまコンビなのでな)とかも観てたんだけど、けもフレが全部持ってったせいで霞んじゃったねぇ。両作品とも3〜4年前なら5000枚は堅かったと思うんだけど、まぁユーフォですら1万枚行かないんだから今のご時世ってヤツですかね。けもフレのガイドブック、全巻累計20〜30万部くらい行くんじゃねーかって勢いっすね。

んで今けもフレを第1話から見直してる、って話はしたな。なので、次に書く時にはまた別な風に書くかもわかりませんが、今のところ全12話でいちばん気に入っているのは第3話です。トキとアルパカの回だ。

まず、金田朋子演じるトキが「仲間を探して歌っている」という設定の時点で既にうるっと来る。けもフレは絶滅した動物や架空の動物までフレンズ化してくれるのだが、トキがニッポニア・ニッポンの事だとすれば金朋の素っ頓狂な歌声は悲痛な響きにすら聞こえてくる。きっと音痴なかばんちゃんに誉められて浮かれる描写もいい。金朋いい演技すっぺ。今の出来がどうであっても「誉められた」という成功体験が大切だ。気をよくして取り組んでいくうちに本当に成長してしまう。誰かを育てる時に何が大事か、考え込んでしまうようなエピソードだ。まずは誉める、からスタートするのだけどそれが悪気もおべっかも世辞もないかばんちゃんの素直な一言からというのが、またいいのよね。

一方のアルパカ。彼女の栃木弁が藤井ゆきよ(私が思う現役女性声優でいちばんの美人さん。あのモデル体型は反則やで…)のアドリブだときいてまた吃驚。本当に木訥で素直な感じがうまく出ている。一途さとうっかりとぼけた味わいの両方が出ていて絶妙なチョイスと言わざるを得ない。誰か自分のいれたお茶を美味しく飲んでくれないかと待ち続けるのはまぁよくある話だが(そういや「ガヴリールドロップアウト」のマスターも似た感じか…)、それが高山というシチュエーションになるとこうも"クールロマン"な感じが出るですか。仲間を探すトキと、茶飲み友達(お客さん)を待つアルパカの対比が、高山の薄い空気をバックにするとなんとも果てしないスケール感を生む。たつき監督、どこまで考えて作ったのだろう。舞台設定が秀逸過ぎるよ。

冷静に考えると、「歌とお茶」っていう組み合わせ自体が強烈に私好みなのに、そこに高山の澄んだ空気を掛け合わせるものだから、私気に入らない訳がなかった。うむ。

そういった"悩み"をもつ金朋藤井ゆきよが、いやトキやアルパカが、かばんちゃんの一言でその悩みを解決していくありきたりな流れがまたいい。口酸っぱく繰り返すが、けもフレのストーリー自体は本当に他愛もないものばかりなのだが、今言ってきたような様々な設定や掛け合わせによって視聴者の感情移入が瞬く間に深くなる点が、すごーい!のである。トキやアルパカと感情を共有し、かばんちゃんが悩みを解決してくれた事に心から「よかったねぇ」と言える。それをたった30分いや24分の枠の中で達成するのだから完全に私は、いや我々は「してやられている」。名作と最初に言い切った期待を裏切らない作品である。これぞ童話・寓話の原型だ。絵本化してくんないかなぁ。