無意識日記々

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自分語りで終わるかと思いきや

実を言うと私は音楽にとても疎い。と言っても説得力が無いというか意味がよくわからないというか。

昔、「あたしゃ何故こんなにヒゲダンスが好きなのだろう?」と疑問に思っていた。探検隊ネタや教室コント、いかりや母さんに早口言葉、仲本工事の体操などなど、ドリフターズの「8時だよ全員集合!」には優れたコーナーが目白押しだったが、いちばん気に入っていたのがヒゲダンスだった。ヒゲダンスのなかった週の落胆ぶりは目に余るものがあった。「先週もなかった、今週もない…」を何週か繰り返して「あ、終わっちゃったんだ」と気がついた時の寂しさといったら…(ちっちゃかったので、「コーナー終了」という事実そのものに対して気付くのに時間がかかった)。

実際、すぐに終了するのもやむを得ないコーナーだったのだ。加藤茶志村けんが口ヒゲをつけてモーニングを着込んで掌を妙に反り返して奇妙なダンスを踊りながら一芸披露する、という笑いを至上としたドリフターズにしてはやや洒脱な(?)印象を与えるコーナーで、そんなに笑いがとれていた記憶もない。しかし小さい頃の私は2人がつけヒゲ姿で袖から出てきたらもうハイテンションだった。なんでだ。

「あ、曲が気に入ってたからか!」と気がついたのは随分あとだ。「ヒゲのテーマ」。ソウル・アーティスト、テディ・ペンダグラスの「ドゥ・ミー」という曲のイントロをひたすらループさせるだけのトラック。今聴くと随分ファンキーなグルーヴが売りのトラックだが、幼稚園児だか小学校低学年だかの私をハイテンションにさせていたのはそのクールでファンキーでグルーヴィなベースリフだった。いやはや、気づくのが遅い。そういう意味で私は音楽に疎いのである。何かに触れた時に自分の感動が音楽由来であった事になかなか気づけない、という意味で。

先日久しぶりに「カリオストロの城」を観て、自分が何となく気に入っていると思っていた場面の多くが、「曲のよさ」に由来している事に改めて気がついた。あの映画、案外「トムとジェリー」的な音楽の使い方をする。キャラクターの動きに合わせてリズムとメロディーが動くアレだ。

というのなら、自分が「トムとジェリー」大好き人間だった理由も、その巧みな音楽SEのお陰だったと気づいたのも随分後だな。あのアニメは動きの滑らかさもさる事ながら場面々々を盛り上げる効果音楽(音程のある効果音、だな)が秀逸で、目をつぶって音を聞いているだけでもトムとジェリーの攻防が思い浮かぶ程だ。確かに、理屈抜きに幼児の心を捉える要素が満載だ。小さい頃の私は「トムとジェリー」の楽しさの源が音楽にあったとは気づいていなかったのだ。嗚呼、疎い。

しかし小さい頃なんて人間大体そんなもんじゃないの、作品に触れる時に作画が脚本が演技が音楽がなんて分析的になれないよ。触れて楽しい!退屈ぅ…ってもうそれだけだったでしょ…?と文章を締めようとして気がついた。5歳の宇多田ヒカルさん。アニメ「CITY HUNTER」のエンディング・テーマ、TM NETWORKの「GET WILD」の魅力に関して、随分と自覚して分析的だったねぇ…二番サビ後のボイスパッドが何だって? 5歳の女の子がアニメソングをそこまで詳細に冷静に捉える事が出来たのか。やはり家業を継いで二代にわたって日本最高記録を作った家系は違うなぁ。エリートのサラブレッドが努力を重ねたら、そりゃあ名作・名曲ばっか生みますわな。スタートラインからして違ったのだ。それがヒカルにとって喜ばしかったかは別だけど。