いい。とてもいいぞライブ・アルバム。特にヒカルの歌は絶品だね。前日に生で聴いてたんだからわかりきってたけども。なんならU-NEXTでも観てたし映画館でも観たけど、こうやってライブ・アルバムとしてリリースしてもらうと聴く方の心構えが変わってくるんだねぇ。
なるほど、途切れ途切れではあるが全編を聴いてみると、必ずしも“実況録音盤”とは言い切れないかもしれないこのアルバム。曲毎にフェイドイン/フェイドアウトさせてMCをカットした場面が幾つかある。というより、「曲と結びついていたので“カットできなかった”MCのみ残して他は全部切った」ということかな。これで作品としての色合いが判明したといえる。
つまり、このアルバムは「ある日のコンサートの音をそのまま記録したもの」というよりは、あクマで「ライブ・パフォーマンス・トラック・コレクション」だということだ。「ライブ音源集」ですね。複数の公演地の音源を注ぎ込んで構成されたライブ・アルバムなんかがこの体裁になるのだが、一夜のみの素材でこうマスタリングしてある作品というのも…珍しいかどうかはわからないけど、面白くはあるわね。
理由として考えられるのは、例えば「MCまで入れると演奏時間的にCDに入り切れなかったから」などだが、結果的には寧ろサブスク向けのマスタリングとなった。こうやって1トラックずつ独立しているとプレイリストに入れて貰いやすいし、シャッフル再生なんかもしやすい。SFコンサートにも『DISTANCE (m-flo remix)』〜『traveling (Re-Recording)』のようなメドレー形式はあったりするけど、実にうまくトラックが切られてますなぁ。
ということで、このライブ・アルバムは配信版を聴いた限りでは「まるでその場に居るように感じる」事を主題にしているというよりは、ヒカルとバンドの音楽的ライブ・パフォーマンスのクォリティの高さをアピールしに来ているように思われた。観客からの歓声や拍手も最低限しか収録されていない。
そういう意味では、そうね、『Hikaru Utada Live Sessions from Air Studios 2022』に引き続いてリリースされるライブ作品としては順応な感触だね。
…などと、冷静を装って語ってるけど、いやもう中身の素晴らしいのなんの! これが今後毎日肌身離さず聴ける事に興奮を禁じ得ない。現代社会で携帯電話を手放すタイミングは殆ど無いから「いついかなるときにでも」ヒカルのライブでの歌声が聴ける、と言っていいのだな。ヒカルがスタジオ・バージョンと違うタイミングで息継ぎするのに気づく度に「うふっ」となってしまう。完全に危ない人である。今日一日そうやって外を歩いてきたですよ…今度から気をつけよう…。
うむ、まだCDの方のマスタリングも、Blu-rayの方のサウンドも聴いてないので総ての感想は暫定なのだけど、だからこそ今のうちにひとつ疑問を記しておきたい。ヒカルのメイン・ヴォーカルは現地で歌ってたものをそのまんま収録しただけなんだけど、バック・コーラスってどうなってんのこれ!? スタジオ・バージョンとも違うし、現地で聴いたのとも違うし、何ならU-NEXTや映画館で聴いたのとも違うような?? もしかしてCDと配信だけ差し替えてるとかある?? いやそもそも、そういや意識してなかったけど、バックコーラスの録音って、スタジオ・バージョンそのままなのか、それとも2024年に新しく録音したものなのか、どっちだったんだろ。よくわかってなかったぜ。なので、これからそこらへんも確認してきたいと思います。『Keep Tryin' (Live Version)』とか全然バック・コーラス・サウンドが違ったよぉ。めっちゃ新鮮な響きになってたな。
ひとまず、初日の第一印象はこんな感じ。まだまだこのあとBlu-rayチェックしてCDチェックして、またストリーミングに戻ってきてハイレゾとロスレスと256kbpsと聴き比べて、嗚呼今回もしっかりドルビーアトモス版あるんじゃん! てな感じで、まだまだ先は長いのでした…これは嬉しい悲鳴をあげますわっ!ひゃんっ!(←嬉しい悲鳴の例)