無意識日記々

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自戒

電池の配分を間違えた。果たしてこのエントリーは無事UPする事が出来るだろうか。出来ただろうか。

さてさて年度末。この季節になると古いファンは2ndアルバム「Distance」と浜崎あゆみのベストアルバムが同日発売で"激突"した事を思い出すのではないか。当事者の空気は当時のStaff Diaryに記されているが、あれから11年である。来年触れる時には「干支が一回りする位昔」と言うんだろうな私。兎に角もうそれ位昔。

結局僅差でヒカルに軍配が上がるのだが、この時の初週300万枚は未だに世界記録である筈だ。日本史上の特殊性を最も象徴した"事件"だったといえるだろう。何しろ2人併せて600万枚がたった7日間のうちに売れたのである。巨神兵も真っ青だ。

ヒカルのデビューした翌年の1999年も常軌を逸していたが、夏場をツアーした2000年からこの2ndアルバムに掛けての約2年半は本当に狂っていた。出すCDが面白いように飛ぶように売れ、どのLIVEコンサートも異常な倍率を記録し、何かあればすぐ宇多田ヒカルだった。

その"狂騒曲"の最終章が、この「Distance」アルバムだった。特に先行シングルのCan You Keep A Secret?は全回視聴率30%超えという化け物ドラマ「HERO」の主題歌に起用され、この最強タッグの効果を遺憾なく発揮してヒカル唯一の年間1位のシングル曲となった。

ある意味、ここがピークだったのである。ここから後の展開は第2章という雰囲気が強かった。シングルカットかと思われた次のシングル曲はFINAL DISTANCEという特殊にして特別な曲で、テレビでも(MTV-Unpluggedまでは)一度も歌われず、オリコンでも1位の座を他の歌手に明け渡したのである。ここら辺の時期に至る頃には、"宇多田ヒカル"という名の神通力はほぼ消え失せていたのだ。

だからこそここからの、traveling、光、SAKURAドロップス、Lettersと続くシングル曲の数々が売れたのは、偏に楽曲の素晴らしさ故だったという印象が、今となっては強い。3枚のシングルを年間TOP10に送り込んだこの当時は、ネームバリューの大きさがものを言っていたようにも感じていたのだが、人々の興味はもう他に移っていた気がする。どうだろうか。

ファン層という点では、特におっかけ気味の熱いファンは結婚を契機にごそっと離れていったような感じだ。入れ替わった、と言ってもいいかな。CDの売上に関しては特に影響はなく、次のCOLORSは年間3位の売上を記録した。国民的名曲と言っていいだろう。

しかし、その後は暫く沈黙が続いた。ヒカルの5は倍率20倍とはいえ開催形式からも熱心なファン向けのイベントといった趣で国民的関心事という感じにならなかったし、シングルコレクションを出して全米デビューをする頃にはいわばもうヒカルは既に"過去の人"だった。極端な話、かなりの人にとって宇多田ヒカルの楽曲というのはCOLORSの次はFlavor Of Lifeなのだ。いやまぢで。UTUBEの再生回数上位10曲を見てみるといい。

寧ろ、その間に違う層を耕したともいえる。キングダムハーツの続編、FREEDOM、ヱヴァンゲリオン、、、ファン層も随分"そっち側"が厚くなった。テトリスの凄腕ぶりも効いただろう。DSのCMの影響力は未だによくわからないが…Easy Breezyのオンエア数は結構な数字だったが。

で。なんでこんなここの読者なら誰でも知ってるような昔話を延々と綴ったかというと。宇多田ヒカルって人間活動宣言をしていようがしていまいが、実はとっくに"オワコン"になっているという事実をファンとして自覚してみたくなったから。いやシングルコレクション第2弾ですら44万枚以上売れてんのにオワコンはねぇだろと思われそうだが、これは比較論の話なのだ。それ位に、最初の2年半の注目度が桁外れに並外れて凄まじかったという事だ。誰しもがいう「あの頃と比べちゃいかん」という台詞は、過去を美化してるのでも誇張しているのでもなく、本当の実感なのだ。浜崎あゆみとの同日発売は、もうそれ以上の話題性を提供するには結婚するしかないという位に最後にして最大の"お祭り"だったのである。

考えるべきなのは、結局この2ndアルバムも、この派手な"演出"(といっても先に触れた通りEMI側には対決なんてアタマになかった為演出といっても"周りが騒いで作り上げた"ものなのだが)をもってしても400万枚台にとどまった点である。既にこの時点で300万人位が1999年の狂騒から抜け出しているのである。その理由の分析は逆に難しいが、宇多田ヒカルという名は当時から"この時代のお祭り騒ぎの名前"として相当数の人間に認識されていたという事だ。我々からしたら遠い星の御伽噺みたいな話だが、つまりだんご3兄弟と同じ扱いをされてしまったというか。ほんまなんでやねん。

一億人居る国、というのはそういう所なのである。次の復帰時は、余程周りがお膳立てしないと皆ヒカルの事を忘れている、というか"過去の偉人"扱いされているおそれがある。まぁそれは覚悟しておきなさいよという事だ。

まぁ私自身は世間の流行なぞどこ吹く風でここ更新し続けるんですけどね。だからこそちゃんと自戒しておきたかったのです。意味があったのかどうかは、ようわかりまへんねんけど。