無意識日記々

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Can't this be forever ?

DISTANCEの『気になるのに聞けない』を聴いて思い出すのはWINGSの『素直な言葉はまたおあずけ』だ。『じっと背中を見つめ抱きしめようか考える』『あなたの前で言いたいことを紙に書いて夢見てるよ大空』、とこの"言いたいのに言えない"感満載の雰囲気。WINGSでは、その一言を言う為には空を飛ぶ程の勇気が必要なのだ。2人の心の距離は、大空並のスケールで隔てられているのだ。すぐそこに、抱きしめられる程近くに背中が見えているというのに。

ところがDISTANCEでは、そのDistanceごと『抱きしめられるようになれるよ』と歌うのである。其処彼処に現れることばは『今なら間に合うから』『いつの日か』『そのうちに』といった前向きなものばかり。WINGSとは随分と様子が違う。

『昨日の言葉早く忘れて』『早めに寝るよ、今日は』というWINGSの歌詞からは、どこかやるせない、どうにもならない雰囲気が漂ってくる。恐らく、この後『素直な言葉』は永遠に言えなかったのではないか。人に翼が生えて大空を飛んだりなんかできっこないように、その一言を言う事は土台無理だったのだ。

DISTANCEでは『無理はしない主義でも少しならしてみてもいいよ』とくる。まだなんとかなる、という希望を感じる。『I wanna be with you now,』、何て素直な言葉だろうか。これが言えるうちならまだ間に合う、少なくともそう信じている。

さて、ここで問わねばならない。この2人は結局"間に合った"のだろうか? 2人の間のDistanceを抱きしめられるようになったのだろうか。あなたと今一緒に居たい、と素直な言葉を投げかけられたのだろうか。その解釈は聴き手に委ねられている。この歌は最後まで『We can start』と歌い続け、どこまで行っても"We have started" にはならない。その心象で留まっているからこの歌はどこまでも新鮮で瑞々しいトーンを貫けるのだが、それを変化させたのがFINAL DISTANCEであった。この曲で、2人は"あるべき距離"に辿り着いたのである―

―と解釈したくなる所なのだが、この2曲、歌詞が劇的に変わった訳ではないのだ。強いて言うならアウトロ部分の歌詞は大幅に削られているが、何かが付け足された記憶はない。もう一回聴き直してみないといけないな。そこらへんは宿題にしておこうか。