無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

まぁいいんじゃない

当初は、オリンピックが開催される時期、光はロンドンに在住で、ひょっとすると観戦になんか行っちゃったりして、現地滞留メディア陣に目ざとく見つかっちゃったりしないかな、なんて余計な心配してたんだけど、何となく今は日本に居るような感じだし、大体テレビ買ってないって事はオリンピックをテレビ観戦する意志がそもそもあんまりないってことだろうから、たとえ今ロンドンに居るとしても会場まで足を運ぶなんてなさそう、結局興味がないのかな、なんて思ったり思わなかったり。

こういう競技が種々見られる状況、どうしてもKiss & Cryを思い出す。4年間の思いをたった1日、たった1秒の一瞬に込めるそのリスキーな生き方に感嘆して、この曲は生まれた筈だ。誰それを応援するしないに関わらず、その集中力に触れるだけでも得るものは多い。アーティストだとどうしても喜怒哀楽の爆発力に欠ける。それをナマで見れる千載一遇のチャンスなのに…。

かといってキスクラが一流アーティストの目線で書かれているかというと全くそんな事はなく、当初は歌詞にリストカットが含まれていた位、"うまくいってない"、"うまくいかなそう"な人々を描いた楽曲である。それに対し『まぁいいんじゃない』というその何とも言えない優しさ。私なんかはついつい小津の東京物語の一場面、老夫婦が「まぁ、ええ方ですわ」「ええ方じゃ、ええ方じゃ」と慰め合う場面を思い出してしまう。そこにある、未来への期待が裏切られた時の受け止め方、何が悪かったかといった話はもうせず、笑顔でそう言うしかない、というちょっぴり切ない物言い。4年に1度に賭けるような人生でなくとも、人が生きていれば結局そういう事もある、いや大半がそういうことなんだと、溜め息をつかずにはいられない、そんな哀愁やペーソスを包み込む笑顔が、キスクラの本質だった。とすると、もしかして今の光の気分とはあんまり相容れなかったりするのかな。こればっかりは、訊いてみないとわからないや。

でも、出来るなら、話題性云々は抜きにしてその選手たちの"ひたむきさ"に、少しでも触れてみて欲しいなぁ、と、そしてそれがいつの日かの復帰の後押しになってくれないかなぁ、とぼんやり思う7月の暑い朝でしたとさ。