無意識日記々

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SakuraNagashi by Paul Carter

先週はこちらがぼーっとしている間に2つの注目すべき動画がUPされていた。1つは桜流しをヒカルと共作するという今や昔の村上ちえちゃん並に私の羨望と嫉妬を集めるPaul Carter@thisisbenbrickによる桜流しのピアノヴァージョン。そしてもう1つはEVAQの映像を大胆にフィーチャーした桜流しの新しいShort Ver.PVである。

ポールの動画には衝撃を受けた。あんたが弾いとったんかい! こちらは最初に「音色は生グランドピアノにしか聞こえないし、打鍵の柔らかさのバリエーションも人が弾いてるとしか思えない。でもIvoryIIによるサンプリング&プログラミングなんだよねぇ」と書いてしまっていたのだが、単純に人がグランドピアノを弾いていただけだった。あちゃー。IvoryIIどこ行ったんや。単にデモ制作用に買っただけなんか。

ヒカルの場合、Synergy Chorusに歌唱指導をしていた時にも思ったが、自前である程度音が用意できる場合でもその"ある程度"では満足せず、更なる精度を目指して専門家に録音を依頼する、という事だろうか。

ピアノの録音をする場合、様々なバリエーションが考えられる。まず普通にスタジオやホールでマイクを立て人がピアノを演奏する様子を実況録音する事。もうひとつはまるごとPCでプログラミングしてしまう事、もうひとつはピアノのサンプリング音を用いて電子キーボードで人が弾く事。最後のはオンラインで録音してもいいし他の方法で録音してもいいだろう。ともあれ今回は、マイクでピアノの生演奏を拾った、というのが実際のようである。

もうひとつ注目なのはポールがアップライトピアノとグランドピアノを使い分けている点。これは気が付かなかった。迂闊だった。室内楽的な静謐な前半ではアップライトを、スタジオヴァージョンでは様々な楽器が入ってくる後半部分ではグランドピアノをそれぞれ弾いていらっしゃる。特に後半部分では非常な低音を響かせるのでグランドピアノの方がうってつけだったろう。前半の親密な繊細さはアップライトという訳か。成る程。

今回の演奏は、中盤を幾らかショートカットし、エンディング部分を大幅に端折って一分ほど短いヴァージョンになっている。最後の部分は演奏の主役を他の楽器に譲る為ピアノは裏方に徹する。故に省いたのだろう。

スタジオヴァージョンとの連関だが、Youtubeの音質でどこまで判断したらいいかはわからないが、打鍵のリズムのバラつき具合からスタジオのとは別ヴァージョンだと思われる。映像で弾く姿を見せてるからってその時の演奏の音を映像にくっつけるとは限らないけれど今回は"正直な"ヴァージョンだとみてよさそうだ。

ひょっとするとスタジオヴァージョンは、実際の生演奏をある程度切り貼りして編集したものであるかもしれない。4分40秒の曲だからといってそれを通しで演奏したものを録音したのをそのまま使わなければならない道理はない。これもまた、様々なバリエーションが考えられる。ポール@thisisbenbrickは気さくな人らしいので、Twitterで訊いてみたら答えてくれるかもね。